私の登山シーズンは、セツブンソウの開花と共に始まります。雪山を遭難せずに降りて来られる自信はまだなく、装備も夏用の物しか持っておらず、冬は登山をお休みしているためです。
山間部の春は遅く、節分の時期に咲くからセツブンソウ、と名付けられた花が、2月末頃に咲き始めます。しかし3月間近ともなると、厳しい降雪も流石に穏やかになり、山も少しは登りやすくなります。ちょうどその頃合いに、この大好きな花が咲き始めるので、これ幸いと、毎年セツブンソウの鑑賞をするために、雪混じりの登山道をえっちらおっちら登るのです。冬の間に鈍った身体が弱音を吐きますが、セツブンソウのためならエンヤコラ、です。
セツブンソウ。日本固有種でありながら、現在では自生地がめっきり減っており、守っていかなくてはならない山野草のひとつです。この妖精の如く可憐な姿の通りに貴重な花が、野生下で他の植物たちと混ざって、のびのびと咲いている場所にすぐ赴けるというのは、本当に嬉しいことです。
なにしろ可愛いので、写真を何枚も撮ってしまいます。姿といい、色合いといい、「わたしの考えた最強にかわいい花」がスケッチブックから飛び出してきたような花だよなあ〜と、観に行くたびにうっとりします。
もっと綺麗な名前を付けてあげたらよかったのに、と思いますが、名前に暦が入っているということは、昔の人々はこの花を見て真っ先に春の訪れを感じていたのかなあ、と思いを巡らせると、この名前こそ一番良いようにも思います。暖房器具が充実した現代よりも、ずっとずっと厳しい冬をなんとかやり過ごして、この小さく可愛らしい花がひょっこりと顔を出しているのを見つけた時の喜びというのは、きっと、私には到底味わえないほどでしょう。
セツブンソウに混ざって、セリバオウレンの花も咲いていました。この花も神秘的な佇まいで大好きです。早春の花はみんな粒揃いに可愛い。
タチツボスミレやオオイヌノフグリもちらほら咲いていましたが、少し寒がっているようです。もう少し暖かくなるまで寝ていてもいいのに、勤勉ですね。オオイヌノフグリこそ、もっと綺麗な名前を付けてあげたらよかったのに…!と切実に思います。
スエヒロタケ。白くてふわふわでキュート。
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2月末はBUMP OF CHICKENのライブにも行き、本当に素晴らしかったのでその話もしたかったのですが、「花、かわい〜〜〜!」話で埋まってしまいました。花は可愛いから仕方ないですね。バンプにも山野草に負けず劣らず、並々ならぬ想いを抱いているので、また別の機会にでも書こうと思います。