日記 2024.9.2

spice16g
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公開:2024/9/2

 午後、会社のお手洗いで手を洗おうとしたら水が出ない。えっ、と思い給湯室の蛇口をひねるも水が出ない。仕方なくオフィスのウェットティッシュで手を拭いていたら水道管が爆発して急遽断水になっているとのことだった。まさかお手洗いに入っているタイミングで断水なんて!

 はあやだやだと何気なくオフィスの隅を見ると何かが落ちている。上司がそれを拾い上げると湿ってもろもろしていた。どこから?と天井を見上げるとなんと、雨漏りの染みのある場所が崩落していた。今のオフィスに引っ越してきて4ヶ月、水道管爆発の次は雨漏りと天井の崩落とは。さすがに上司もわたしも「もうやだー」と言ってしまった。

 帰りに会社近くのスーパーに寄ると、お米の棚はやはりがらんとしていた。所狭しと特売品が並べられているのに、お好み焼きに使いたい山芋の粉はない。それだけで冷や汗をかく思いになってしまった。どうにか代わりを見つけてレジに並ぶ。列の横には飴が陳列されていて、後ろに並んでいる老夫婦の妻が勝手に飴をかごに入れては「こないだ買ったがや!」と夫に戻されていた。この老夫婦の姿はわたしとつれあいの将来かもしれないし、実家の両親の姿なのかもしれない。子どもが「お菓子選んだよー!ママどこー?」としきりに母親を捜していた。

 レジを終えて駅に向かう。駅の近くには居酒屋があって、前を通るたびに飾られている似顔絵を見ていた。勇ましい顔をした店主のおじいさんと、にこやかなおかみさんと、息子さんとおぼしき男性の三人が描かれた、わたしが好きではないタッチの似顔絵だ。その居酒屋の前を通ろうとして、戸が開いていることに気がついた。見るともなく前を通ると、そこにいたのは遠い目で夕涼みをする車いすの老人だった。別人のように遠い目をしていたけど、紛れもなく似顔絵のおじいさんだった。ほとんど泣きそうになりながら駅までの道を歩いた。

@spice16g
下り階段が苦手です。