野球好きの友人が興味深い話を教えてくれた。
彼の地元には2つの少年野球チームがある。1つは毎年優勝候補の強豪チーム。もう1つは負けてばかりの弱小チーム。
強豪チームの練習はとても厳しい。グラウンドにはいつも大人の罵声が飛び交っている。試合では送りバントを多用して、ランナーを確実に進塁させて点を取っていく。そんな野球をする。
弱小チームはいつも楽しそうに練習している。グラウンドは子供たちの笑顔で溢れている。試合ではランナーが出てもみんなブンブンバットを振ってくる。なぜかバントはしない。ヒットを続けるのが難しいのは、子供も大人も同じらしく、当然なかなか点が入らないのでよく負ける。
そんな対照的な2つのチームは同じ地域で活動している。なので2つのチームの子供たちは、ほとんどが同じ中学校に進み、その野球部に入る。そしてここから面白いことが起こる。子供たちが入学してから2、3年経ち、彼らがレギュラーとして試合に出る頃、なんとレギュラーのほとんどが弱小チームの子供たちになる。子供の頃、試合でブンブンバットを振り回していた弱小チームの子供たちは、身体が大きくなって、みんなよく打つようになる。
ただ残念なのは、弱小チームは年々子供たちが減っていて、チーム存続の危機にある。
そんな心に残るような話を、野球好きの友人は楽しそうに話してくれた。溺愛する息子のサッカーの試合を見ながら。