メロメロ論争

srarara07
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公開:2025/5/10

Twitterで巻き起こっているっぽい「メロい」論争をざっと追った。

暇でもないのになんでこんな話題(=自分の生活との関連度が低い話題)を追っているのか…という感じではあるが、直近で私自身がはじめて「メロい」という単語を口にする場面があったことと、倫理観に信頼を置くフォロワーが触れていたことで、「感覚のアップデートせんとまずいかも?」という気持ちが芽生え、Twitterの魔鏡ことおすすめタブを熟読するに至った。

※読んだもの…発端となる九月さんという方のツリー、ぶら下がっている返信や引用、関連ツイートとして出てきたもの、以降おすすめタブに出たツイート類

結論からいうと私の感想は「おもしれ〜!」だった。

新出単語「メロい」は「メロメロになる」を元にした言葉であること。

「メロメロになる」は自身の状態を示すのに対し、「メロい」は自身をメロメロな状態にさせる対象に対して使う言葉であること。

そういった『言葉の構造』という意味では「エロい」や「シコい」にも通じる部分があるのではという指摘。

「エロい」や「シコい」は自身の性欲を包み隠さない下品な言葉であり、かつ対象に付与するラベルとなることで加害性もあること。

「メロい」にも同様の加害性が含まれうるという指摘。

いずれも対象の外観をジャッジするものだという指摘。

必ずしも外観に対する批評ではないとする反論。

「メロい」には「エロい」や「シコい」のような明確な性欲が含まれないことからそれらと並べることは不適切という反論。

「メロメロ」も表現としてマイルドなだけで十分に性欲が含まれているだろうという意見。

「メロメロ」は赤ちゃんに対しても使う場面があることから必ずしも性欲は含まれないという意見。

「メロメロは性欲を含むか」に関するそれぞれの持論(バラけているので、使う人により異なることが分かる)。

そこから派生した、いつものTwitter男女論(「男の性欲は〜」「女は分からないだろうが〜」という大きな主語で男女対立を深める論争)

「使う側としては性欲ナシの褒め言葉のつもりでも、対象にとっては不快に響くこともあり、加害性は含みうるのでは」の投げかけ。

などなどなど…

議論をしている人々は、苛立ちながら自分の主張を繰り出している方が多く、全体としてはあまり幸福に着地していないようで不憫に思うが、第三者の私としては、それらの議論に「うんうん」と頷き、自分にない視点に「ほほう」と驚き、「メロい」という言葉の表現の巧みさに改めて感心しつつ、その乱暴さと加害性をかみしめ、「まぁあんま使わんと思うけど使うにしても気をつけていこう!」と普通に学びを得た。

たぶん、自分も議論に参加していたら、極端で独善的な他者の意見をぶつけられて疲弊していただろうことが容易に想像できるが、第三者として傍観する分には「新しく生まれた言葉についつ、今こうして思いっきり議論しておくことができて、まぁまぁよかったんじゃない?」と感じる。

人間が人間社会を運営していれば、どうしたって新しい言葉は生まれる。

短絡的で、俗っぽく、誤認の可能性を含んだ危うい単語も、ポンポン生まれて、十分に審議がなされないまま広く普及し、曖昧な状態のままみんながなんとなく使う状況になる。

それはどうしたって避けられないし、そういう言葉の移り変わりが、時に文化を生むし、時に争いを生み人間の尊厳をめちゃくちゃにもする。

Twitterでの議論は、感情論も大きく、渦中で受け止めるのはストレスが大きいけれど、一歩ひいて見れば『人々が自分たちの使う言葉について腹を割って議論をする』という状況なので、社会実験的なムードもあり、これはこれで意義深くもある。

私自身は今後もなにかにメロメロになっても「メロい」とはあんまり言わない気がするが、ジャニオタの友達には「メロいねぇ」と言うと「メロいの〜!!!」と喜んでくれるので、そういう内輪の感情の共有だけにちいちゃくこっそり使わせてもらおうかと思っています。

おわり。