以前、夢の中で虚無を飼っていた。手のひらに乗るくらいの大きさの黒い毛の塊で、特に鳴いたりはしない。名前はムゥちゃん。そう、虚無のムゥちゃん。そこに存在しているのに虚無とはどう言うことなのか。しかし飼っている私は、ムゥちゃんが確かに虚無であると分かっていた。ムゥちゃん、ムゥちゃん、ちょっと温かかったムゥちゃん。そっと寄り添ってくれた私の虚無。最近は夢に見ないのだが、夢の中の私は今でもムゥちゃんを飼い続けているのだろう。そう思うと、少し楽になる。あの優しい虚無はいつでも私の隣にいるのだ。うろんたぬきAこのアカウントはフィクションです。実在の人物・事象とは関係ないと思います。