我が家の時空が歪んでいることは前にも書いた。
その後だが、新しい時計は日々順調に狂っていくし、先住の時計が一台壊れた。
とうとう家の者までもが「この家、磁場とかおかしいんじゃないか」と言い出した。時空派と磁場派の戦いである。1秒たりとも争ってないが。
この時空の歪み、なぜか壁に掛かっている時計にのみ作用している。壁掛け時計と、壁に取り付けてある給湯器のリモコンのデジタル時計は狂うが、腕時計や置き時計は無事なのだ。
ちなみに置き時計の中でも三十年以上使われている目覚まし時計(上に猫のぬいぐるみがついており「ねこにゃんにゃんにゃん、ねこにゃんにゃんにゃん、いい朝だにゃー!」と歌う)はすごい。狂ったところを見たことがないし、電池を替えた記憶すらない。もはや付喪神化して、自力で動いている可能性が高い。化け猫時計とお呼びしよう。
時空が歪み、妖怪のみが正確に時を刻む家。それが我が家なのである。