鳩の鳴き声を聞くとお腹の辺りがぐるぐるしてきて、それはもう苦手だ。あの鳴き声に同調するように、腹に何かが渦巻くのだ。気がついた時にはもうそんな有様だったので、おそらく前世の因業だと思う。
同じく前世からであろうもので、カエルが無理だ。怖い。嫌いとか気持ち悪いではなく、怖い。ガマならず、小指の先ほどのアマガエルでも無理だし、いまその名を書くことも本当はしたくない。今後はヴォルデモートと書かせていただく。小学生の頃、クラスの男子に小指の先サイズのヴォルデモートを突きつけられた。あまりの恐慌と泣きに男子はビビり、果ては噛まれたりしたのかと心配までしだす始末だった。このヴォルデモートについても、何がそんなに怖いのか心当たりがとんとない。
さらにもう一つ、理由もなく恐ろしいものがあって、カット済みのプードルが怖い。まんじゅう怖いではなく。街中で角を曲がった先に散歩中のカット済みプードルがいたら、すごい勢いで跳び退さる。
前世で、突然馬車の前に飛び出してきたカット済みプードルを避けようとして横転して沼に突っ込み、ヴォルデモートに塗れながら死んでいったのかもしれない。その横で鳩が呑気に鳴いていたとか。