祖母が倒れた。
胸の鼓動が高まる。
じりじりと押し寄せる不安。
それと共に、真っ黒な感情が私を取り巻く。
ー幼かったあの頃
“男の子”に生まれなかった私は
祖父母からの愛を貰えなかった。
徹底的に起こる“男の子”に生まれた従兄弟との差別。
その事実を信じてくれない周りからの冷たい目。
決して、自分を悲劇のヒロインだなんて思っていない。
思いたくない。
でも、どこかで思っているのかも。
そこから私は“特別”へこだわりを持つようになった。
独占欲。
嫉妬深さ。
負けず嫌い。
⋯
今日も私は心に少しの闇を抱えて。
君の特別になれているかな?なんて聞くんだ。
そんなの無意味なのにね。
でも、貴方は言うんだ。
何度でも。
君はとっくに特別なんだよ。って。
少しだけ、少しだけ
窓からあたたかい光が差している。