「自分にも10代や20代前半があった」そんな当たり前を思い出した夜だった。
必死で考えて、全力で頑張って。
今の自分なら、1/10も労力をかけずにできるのかもしれない。
でも、そんなことが何もかも上手くいかなくて。
それでも誰かの力になりたくて、誰かの力になれる自分になりたくて精一杯だったあの頃。
(もちろん怠惰でもあった。けれどそんな切実な気持ちをずっと抱えていた)
BUMP OF CHICKENの28周年リバイバルツアー、ホームシック衛星。
16年越しで語られた曲は、声は。埃のように身に纏っていたバフのようなものをペリペリパラパラと剥がして、生身の18や20だった頃の自分を掘り起こしてくれた。
BUMPも年月を経て強く、優しくなった。
今の彼らはリスナーを全面的に受け入れ、信じ。「会いに来た」と真っ直ぐ伝えてくれる。
ぶっちゃけ精神年齢的に、最近の曲の方が響くことが多くなってきた。
けれど。
誰かに受け入れてもらえるかが不安でいつつ、誰にも理解されない気になって自ら孤独になっていったりもして。
それでも「居ていい」と思える場所をつくろうと藻掻きながら、自分の足で立とうとして。
自分の存在価値や、大事な人たちとの関係に純粋に悩み、向き合っていた10代20代。
「あの時に出会えて良かった」
そんな音楽たちを、余す所なく浴びせてもらった2時間だった。
そんな純粋さを保ってずっと生きていくのは難しい。
あの頃想像した以上に、自分自身が生きていくことでいっぱいいっぱいだし、自分の大事に思う人たちを大事にすることで手一杯だ。
歳を重ねて、できるようになったことだって、たくさんある。
昔よりずっと、ちゃんと人に寄り添えるようになった(たぶん)し。
持続可能な形で物事を進めることだってできるようになった。
それは「成長」と言っていい、代えがたい価値だとは思う。
けれど。10代だったあの頃、あの時。
ぼくを支えてくれたのは、綺麗に正しく紡がれた言葉や物事じゃなくて。
粗かったとしても、その時の全力で向き合ってくれた誰かや、本気で向き合おうと頑張った僕自身だ。
BUMPはじめ、そんな人や言葉が、今の自分に繋いできてくれている。
システムや仕組みは、もちろん大事だ。
だけど、今、10代20代を過ごす一人ひとりにとって、何より大事なのは「未来も展開もないくらい、本気で向き合ってくれる誰かの存在」だ。
それはきっと大人然として振る舞う人たちじゃなくて、何かに情熱を傾けて苦しみながらも前に進もうとする同世代になるんだろう。
ぼく自身はもう「大人然として振る舞う」ことに慣れすぎて当時のようにするのは難しい。(し、100%そのように在ろうとは全然思わないけれど。)
でも、今だってもしかすると、もっと粗く。
考えなしに注ぎ込む何かや飛び込む瞬間は、あっても良いのかもしれない。
---以下、ライブの楽曲感想(特に印象強くてメモっておきたいとこだけ)---
全体として藤くんの声が荒々しい。
強さと温かさに磨きがかかった前回のツアー、be thereと比して、間違いなく「当時の荒さ」を意識した歌声。あの頃の楽曲に今の魂を込めた歌声は、もしかすると、もう二度と聴けないかもしれない。
この声だったからこそ、昔の感情や思いが思い起こさせられ、今の自分が揺さぶられたんだと思う。
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才悩人応援歌、ラフ・メイカー、アルエ…。
ツアー初日にKingKnuの井口さんが「俺の青春ーーーー!」と叫んだらしい。いや、これはもう、そうよ。そう叫ばざるを得ないよ。。。
自分の無力感としょうもなさと「でも誰かの力になりたい」っていう願いと。通学する電車の中で毎日聴き込んで、友達と何時間も解釈を語り合って…。
そんな曲がこの並びで出てきたら、そりゃ「あの頃の自分」を掘り起こされるよ。
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ハンマーソングと痛みの塔
の、流れでハンマーソングと痛みの塔はアツすぎた。
「なんであんなこと言ったっけな…。」「もうちょっと相手の立場になって考えられんのかね…」「必死になる方向が、違う…!!」
そんな今思うと恥ずかしすぎる記憶ががが、つ、次から次に呼び起こされる。
けれどそんな感情を共有する仲間たちが、そこには1万6千人もこの場にいて。藤くんは「そんなあんたと話したいんだ」と言ってくれる。
「痛みの塔」を抱えて生きていく仲間が、今もこんなにいる。
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飴玉の唄
"ぼくは君を信じたから、もう裏切られることはない"
ひさしぶりにライブで聴く導入。「これ、今ぼくが高校生や大学生に関わる姿勢の礎だ…」というちょっと意外な気付き…。
誰かに関わるとき、それが良いことなのか正直分からない。けれど「あなたのことを信じる」という姿勢の持ち方。「あなたに届くか分からないけれど、あなたに届いて欲しいと思ってぼくは話すよ」という姿勢も、BUMPにもらったものだ。
大事なことは7割方BUMPに教わった…。ロストマン〜orbital periodは改めて哲学なんだよな。。。
自分が抱えた自意識のしょうもなさを突きつけてくれた「才悩人応援歌」
やさしさは、思いの持ちようではなく「人と人との間」に行為として生まれるものだと教えてくれた「ひとりごと」
信じることは、相手の在り方によって変わるものではなく「信じるわたし」の中に生まれるものだと示してくれた「飴玉の唄」…
etc...etc...出会わなかったら、きっとぼくはもっと鼻持ちならない独りよがりな奴になっていたんだろう。。
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en.リトルブレイバー
大好きな曲なのにライブで初めて聴く導入で「新曲?!」となった「忘れないで 今日君がその手を誇り高く遠く掲げたこと(たぶん)」という歌詞。
最近の藤くんがずっと語ってくれている
「君はここで手を掲げたんだ」「君が歌った唄があるんだ」
「それが俺等をずっと支えてくれているんだ」ってメッセージが、詰め込まれまくった1フレーズ。
その後に「できないことなんて、1つでもあるかい?」と問いかけてくる優しさよ。。
いやまぁ、できないことなんて、幾らでもあるけれど。
ヘロヘロでも、倒れそうになっても。生きていれば、また会える。
まるで帰り道に友達に聞くみたいに「今度、いつ会える?」って聞いてくれた彼らにちょっとだけでも胸張って会えるように。
「転んで傷だらけだけど、がんばってたよ」って言えるように。
BUMPからもらったものを少しでも繋いでいけるように、まだ続けていきたい。な。