隣の家のドアノブに鍵が刺さったままだったとき

stake5
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夜21時。

全く付き合いのないお隣の家のドアノブに、鍵が刺さったままになっていた。

ゴミを捨てに行くときに、ちょっと顔を合わせたことくらいあるかもしれない。

声を掛けなくたって、こちらが損をすることは何もない。

そんなシチュエーションは、日々そこかしこに転がっている。

例えば車椅子を使っている方が人混みの中で動けなくなっていたり、満員電車の中程で降りれなくなっている人が見えたり。

「自分がやらなくても、特に困ることはない」

「自分がやる理由も特にない」

けれど声をあげたら、声を掛けたらたしかにその人は助かること。

ぼくは臆病だから。

いつだって、通り過ぎたい気持ちが51%

声を掛けろよって気持ちが49%の比率で湧く。

誰にも誇るほどでもない、小さなものだけど、

その2%を超えるには、勇気が要る。

その2%が必要な自分の小っささに、頭をかきながら隣の家のチャイムを押す。