商店街から少し外れた裏路地。
仕事帰りのお父さんに連れられた5歳くらいの女の子と3歳くらいの男の子が
「「サーイゼーリヤっ♪ サーイゼーリヤっ♪」」 と楽しそうに声を揃えて歩いていく。
女の子は傘を自分でさして。
男の子はお父さんの傘の下に入って。
あと300mほどの道を歩いていくんだろう。
表情は見えないけれど、まわりの人たちの表情が綻んでるのが分かる。
ちょっと離れたところで無関係のおばさんが小さく「サーイゼーリヤ♪」と呟いている。
ぼくも、もちろん「サーイゼーリヤ♪」と小さくつぶやく。
いつもと変わらない町並み。
雨が降っているし日も暮れ始めているから、少し暗く、どんよりとしている。
けれど、そんな小さな2人の声が町に笑顔を増やしていく。
大きいことじゃなくても、そんな風に幸せはつくっていける。