ふだん使っているデジタルツールを見直そう、という目標を、今年の1月のひと月の目標として立てた。この「ふだん使っているデジタルツール」というのは、毎日使うノートアプリだとか、タスク管理アプリだとかのことを主に指す。
安易な目標であった。私はなにもわかっていなかった。春も深まってきた今、ようやく一応の結論を出せたと言えるかな、というくらいのところまでは来たが、見積もりがあまりにも甘かったと言わざるを得ない。
デジタルノート界隈は今、信じられないくらいに広い。この数か月、Noteapps.infoにToolFinder.coにProduct HuntにRedditにYouTubeにPodcastにSlackにDiscordにと節操もなくあちこちを見て回っているが、比喩でもなんでもなく毎日のように新ツールが湧いて出る。PKM界隈は戦国時代もいいところだ(Personal Knowledge ManagementでPKMと言う)。実際、もはや界隈の全ツールを把握している人間など世界にいないのではないかと思う。そんなにノートアプリがあっていったいどうするんだ。いやいや、みんなちょっとずつ情報の扱い方が違うんですよ…!
PKM的なツールというのは、しばらくの期間がっつり付き合って試してみないと自分に合うのかがわからないものであり、データの互換性などもあってあまり気軽に引っ越しができるようなものでもない。情報整理やタスク管理の方法論ももちろん山ほどあり、それだって実行に移すには結構な時間とエネルギーを要する。これは自分に合わないやり方なのか、やり方がなにか間違っているからうまくいかないだけなのか、ツールの使い方を把握しきれていないせいで起きている問題に過ぎないのか、それとも、それとも。試行錯誤に次ぐ試行錯誤で、なんやかやと時間がとてもかかってしまった。
結論としては、これは日々付き合っていくべき問題であって、これという結論を一度出せばそれで終わるような話ではなかった、ということがわかりました。……はい。どんなツールもどんな方法論も、先人が自分自身のために見つけ出した答えでしかなく、自分にとっての最適解ではない。結局は自分の性質と生活に合った自分のための方法を、自分の手で模索していくしかないんだなーと。そういう当たり前のようなことをまざまざと体感させられた数か月間でありました……。
そして落ち着いたツール
それでも一応、今の段階ではおさまるべきところにはおさまったと思えるところまでは来た。今はUpNoteとWorkFlowyとTwosを、それぞれ本棚と作業机とカレンダーみたいに分担して使っている。もともとUpNoteだけを日記と資料庫的に使っていたのだけど、タスク管理とか予定の把握的なところがどうしてもうまく回らなくて、それが今回の見直しの動機でもあった。オールインワン系のアプリもいろいろ試したものの、やっぱりそれぞれ役割別にアプリを分けるのがいちばんうまくいくみたいだ、という感触がある。
Twosで予定と小さなタスク(買い物リスト程度のレベルに砕いたもの)を適宜リマインドして、やりたいことや考え事や書き物はWorkFlowyでこね回し、日々の日記と自分の好きなものの情報をUpNoteにまとめる。未来と今と過去のことを、それぞれ別の場所で扱う。まだ洗練されているとは言い難いものの、やっとそれなりにしっくりくる分担を見つけられたかな、というところ。
自分にとって大事な要件は、アプリの動作の快適な速さ、クロスプラットフォームなこと、機能がシンプルでカスタマイズを要求してこないこと、だったみたいだ。いろいろ触ってみたおかげでそれをはっきり認識できたのもよかった。無限のカスタマイズ性はむしろ際限なくカスタマイズに気を割かれるということでもあり、少なくともわたしには向いていない。適切にチューニングされたプリセットをちょっと選べればそれでいいのだ。プラグインが前提のアプリとうまくやれなかったのはこのせいだった…。果てなき改善欲は逆に実作業を阻害するだけなのだ…。
補足:Twosはいいぞ
Twosは大変おもしろくて楽しいツールなのだけれど、日本語の情報は現在ほぼネット上に存在しない。とはいえガイドは丁寧だし、普通に使うぶんにはそんなに困ることもないはず。バレットジャーナルをとてもうまくデジタルに落とし込んだようなツール…くらいの理解でいいと思います。デイリーノートベースで、*things*というブロックを最小単位として、*things*をまとめたものをリストかつ*things*として扱う感じ。わかる人にはこれでだいたいわかる説明!
PCではすべてが無料。モバイルアプリ版は機能解放に課金要素があるものの、普通に使ってたら貯まるコインで個別に引き換えられるので特に困らない。AIもリマインダーもカレンダー連携も全部無料…何故…。全データのエクスポートが弱いので母艦にするにはちょっとアレですが、開発スピードがすごいのでそのうちなんとかなる気はする。開発者自身が超使っているツールなので当分は大丈夫じゃないかなあと。
ノートを気軽に共有できるコミュニティとかも付随してて非常にポテンシャルがあると思うので、もっと広まって利用者が増えたらいいなあ。小さいチームあるあるで公式Discordに開発者が常駐しているので、機能要望やバグ報告にも迅速に対応してくれます(ぜんぶ英語ですが)。こないだバグ報告したら5分でfixed報告されてスピードに震え上がったよ…。おすすめです!