ダークゾーンに入らないために

佐和
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 一時期、「ゾーンに入るためには?」といったタイトルのライフハックをよく見かけたと記憶している。仕事や物事において意識のゾーンに入るための方法を紹介していた。

 だが、個人的に、現在のネット社会において重要なのは、「ダークゾーンに入らないためには?」という方向性だと思う。ネットをやるに当たり必須の技術と言っても過言ではないだろう。

 ダークゾーンとは簡単に言えば本能を根拠とした獣性だ。怒り、悲しみ、諸々の感情を主にSNSなどでゲロって炎上に加担したり、他者への攻撃としたりする「闇堕ち」だ。その結果、自身のメンタルが悪化するか、リアルでの実生活に支障を来たした人も多いだろう。

 元々メンタルや運、環境などに難がある人々の愚痴や叫び声までは否定しない。聞いてほしい、助けてほしいという声までをも「黙れ」と否定する権限は無い。しかし、身の上話を繰り返すことによって確実に頭の中でエコーチェンバー現象は起きているのだし、反芻すれば記憶は定着し、本来抱える必要の無かった苦しみまで抱えてそれは膨張する。行き着く先はダークゾーンの一丁目だ。

 自分も叩けばホコリが出る人間だし、メンタルも生育歴も誇れたものではない。だからこそなるべくネットではそうした方面の事柄を口にしないようにしている。この作業が終わったらコーヒーを一杯飲もう。明日は別のルートを通って帰宅してみよう。何でもいい。「次にすること」を細かく並べてみるのが今のところは自分のぶら下がってきた蜘蛛の糸となっている。

@steelbook
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