ネガティブな時にこそポジティブな作品を味わうべきという言説について

佐和
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 ネガティブな時こそポジティブな作品を味わうべき、という意見をよく聞く。落ち込んでいるのにより落ち込むような作品は見たくない。辛いのは現実だけで結構だからフィクション内でくらいキラキラした世界に耽溺していたい。御尤。自分がマイナスだからこそプラスに引き上げてくれそうな作品に感化されたいという意見は尊重する。だが、自分の場合、前々からネガティブな気持ちの時にはネガティブなものを味わいたくなるし、現実がツライキツイとくれば不貞腐れた顔をしてよりツライキツイ作品に触れようとするきらいがある。何故だろうか。恐らくこれは「下を見て安心しよう」という無意識から来ているものなのかも知れない。それはおろかな性根である。それは分かっている。分かっているのだが、でも例えば学校生活に深いトラウマを抱く人間に向かってハッピーな学園生活を描いたキラキラ生活作品を押し付けるような人間にはなりたくないのだ。

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