私はあんまり性格がよくないので,周りでは「すぐに人間関係を切る」人として知られている。ここでの「切る」とは「絶交」とだいたい近くて,なにか嫌なことされると急に相手に嫌気がさしてしまってそれ以上の関係を断つといったような意味になる。
こういう生き方とインターネット社会はあまりにも相性がいい。ケンカしても次の日には顔を合わせる学校や会社と違って,なんか嫌だなとなったらブロックしてしまえばそれっきりになる。インターネットでは私のことを嫌いな人と同じくらい私のことを好きな人がいるはずで,嫌いな人をばんばん切って,好きな人とだけ理想郷で暮らしていれば満足なはずだ。
私のような生き方をしている人間の周りには,少なからずそういう人間が集まってくる。久しぶりに会ったときに「そういえばさいきん切った人いる?」と聞かれるのはどうかしているとは思うけれど,それもきっと彼女なりの確認作業なのだと思う。切る人間は切ったエピソードを共有することで,互いに牽制しているだけに過ぎない。「私はこういうことをされると切りますよ」と手の内を明かしあうことで,お互い居心地のいい人間関係を作っていく。
好きな人の嫌いな人の話を聞くのも好きだ。私の性格が悪いのもあるけれど,好きな人の嫌いな人になっていないことを確認して安心するからだ。悪口を聞くのは疲れる時間でもあるけれど,これも私にとっては大事な確認作業であり続けている。
人のことを切るくせに,人に切られるのは怖い。ずっとそうやって生きてしまっている。