強く、冷たい風が吹いている。木々は揺れ、空は澄んで空気が乾燥していることを示している。外に出れば、凍える冷え切った風が身体全体を覆い、自ずと縮こまるようにして小さく丸まってしまう。
なのに、部屋に暖房はついてない。電源をいれてない。なぜなら、暖かいからだ、あたりまえのことだけど。窓から差し込む太陽のヒカリで十分、暖房を付ける必要がない。自室から左を向けば、富士山が拝める。なんだかありがたい。雪に覆われている姿は艶っぽい、冬のせいかもしれない。
日が沈む時間がすこしだけ遅くなったことに気づく。時間の移り変わり、季節の移り変わりをここにいると感じることができる。いつか、この景色も変わってしまうのかもしれない。冬から春へと微妙な変化や、夏から秋へと変わる侘しさや、人の生死や、儚さや。
1周したときには、笑って「やあ」と言えればいい。また会えましたね、と言い合いたい、どの季節にも。
太陽は今日もこの部屋を照らしてくれる。風の冷たさとは反比例して優しさを届けてくれる。春を待ち焦がれる生き物とは裏腹に。