電車の中から雲間に沈む夕陽を見送り、降りた駅で撮った一枚。
多くのちぎれ雲があったが、木の陰でほぼ見えなくなっている。
肉眼で木々はさほど生い茂っていない印象だが、静止状態の画を見ると細々と伸びているのがよくわかる。
芽吹きが見える。
日の暮れということで、空の青が薄め。木の影が濃い。
手を伸ばした高さではなく、胸元で真上に向いたスマホカメラによるもの。
1ヶ月ぶりのホルン練習へ向かう道。
いつもは車で通るこの道だが、一度距離を測ろうと歩いてみる。
同じく下車したスーツケースを引く女性たちが坂道を歩く。家が近いのだろうか。
気温は低くなく、薄い上着でもよかったかもしれない。
靴の裏にアスファルトの硬さを感じる。
甲羅を背負った私は、女性たちにどのように見えているだろうか。
いや、きっと目に映ってはいないのだろう。
何ひとつ言葉を交わすことのない関係の人間に注目する必要はないから。
きっと、都会の寂しさを引きずっている。