冬から春へ

すいそ
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雨降り。気温低し。

けれども桜はツボミを膨らめる。

川沿いの桜が咲き誇るための準備をしている。

天気が良ければ、木の色がほのかに桃色へと変わっているのがわかる。

今日は雨だったが、それでも、冬の乾燥した白色から春の濃い色へと幹が変化していた。

私は、ここの桜たちの幹の色が素敵だと思う。

苔むした緑、白っぽいエメラルド、黒、若木の赤茶、年季を感じる焦茶。

時間帯や季節でわずかに表情が違う。

写真に写すことのできないわずかな差。

記憶に留めておくことのできない、その日だけ見れる色。

個性とはこういうことを指すのかも。

そう考えながら足を進めた。