プロジェクトが生み出す価値の緩急

すだめ
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公開:2024/2/4

最近仕事をしていて、プロジェクトが生み出す価値には緩急があるなと思った。

アジャイルな仕事をしている場合、原則として、最も価値のある成果を生む仕事をし続ける必要がある。理想としては、各スプリントで粒の揃った価値を生み出し続けられれば最高なのだろう。

一方、実際の仕事ではそこまで話は単純ではない。漸進的に価値を生み出せるような仕事はたしかに多い。しかし、ある程度助走期間が必要というか、色々条件を揃えることでやっと価値が生まれるような仕事も実際問題として少なからず存在する。経験上、こういった助走期間が必要な仕事によって生み出される価値は、漸進的な仕事が生み出す価値に比べて比べて大きい(助走が必要にも関わらず生み出される価値が小さい仕事にはそもそも着手するべきではない)。こういった意味で、プロジェクトが生み出す価値には緩急があるなと思った。

世界は複雑なので、価値を生もうと助走をしている間に状況が一変する危険性が大いにある。助走期間が長ければ長いほどこの危険性は高まる。せっかく長い時間をかけて助走したのに、生み出した成果に価値が無いとすれば、助走期間も含めて仕事は無駄になる。ビジネス的にも当然もったいないが、それと同等またはそれ以上に、仕事が無駄になることはチームの士気に影響する。このような、助走している間に状況が変化してしまう危険性を低減するためにはどうすれば良いだろう?

走り幅跳びで、短い助走期間で同じ距離だけ飛ぼうとする場合、その分速く走る必要がある。プロジェクトもまったく同様で、助走期間が必要な仕事に取り組む場合、助走期間はそれ以外の期間に比べて速く・集中して仕事に取り組む必要がある。普段なら受けている雑多な仕事は、この期間には頑として断ることが求められる。いくつかの定例の打ち合わせも、この仕事のためにスキップすることになるかもしれない。

それで、結局重要なのは、プロジェクトが生み出す価値には緩急があることをよく自覚することなんだろうと思う。助走が必要な仕事であるにも関わらず普段と同じスタイルで仕事をして価値が逃げていったり、逆に助走が不要な仕事に対して過剰な集中をして疲弊したり人間関係の悪化を招いたりするのは明らかに良くない。緩急を自覚して、チームの仕事であればそれをチーム内で共有し共通認識を持つことが重要なのかもしれないな、と思った。

@sudame
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