honto / honto with の体験が良い。大好きだ。
まず honto 本体は、品揃えの良さが良い。和書で honto から購入できなかった本は基本的に無い。さすがに Amazon が印刷するような本は置いていないが、それなりにニッチな本も網羅している。Amazon で調べて中古しか無いような本が honto で調べると在庫が1冊だけある、というようなことも多い。
紙の本だけでなく、電子の本も網羅してくれているのもありがたい。honto 程度に大手ならば、電子ストアが急に潰れて全書籍財産を失うという心配もしなくて良さそうだ。honto には読割50という制度があり、honto と提携している書店で紙の本を購入すると、購入後5年間は同じ本の電子購入が50%OFFになる。紙で読んだけれども電子でも持っておきたい技術書なんかには大変ありがたい制度だ。もっとも、僕は完全に紙本派なので、電子ストアはほとんど利用しないのだけれども。
直接的な購入体験には影響しないけれど、地味に素晴らしいと思っているのは OGP (SNSに共有したときに画像が出るなどする、webページの設定)が非常に適切に設定されていることだ。例えば「テスト駆動開発」のページのURLをX(旧Twitter)に貼り付けると、次の画像のように表示される。書籍を共有する体験が格段に上がり、本当に素晴らしいと思う。
さらに honto には honto with という実店舗ユーザー向けのサービスがある。honto with を使うと、honto で「ほしい本」として登録した本が書店に在庫しているかどうかを一括で調べることができる。サービスに位置情報の共有を許可すれば、書店を訪れたときに今いる書店で購入できる「ほしい本」のリストを出すようなこともできる。書店の実店舗を愛用している僕にはこれが大変に嬉しい。この機能だけでも honto を愛用する理由になりうる。
ところで、前段で登場した honto / honto with の「ほしい本」の機能はなかなか痒いところに手が届いて良い。「ほしい本」は基本的に Amazon のほしいものリストと同じだが、honto / honto with の「ほしい本」機能では、honto のオンラインストアや honto と提携する実店舗で本を購入すると、登録していた本が自動的に「My本棚」に移動する仕組みになっている。これによって、オンラインストアにいようが実店舗にいようが、「ほしい本に登録してるけどこれ買ったっけな~~~、家の本棚にある気がするんだよな~~~~」という迷いが一切無くなる。本が文字通り自宅に積まれているような人には最高の機能だ。
書籍購入を honto 系で完結すれば、「My本棚」には購入した本が紙本・電子本を問わずにリストアップされることになる。「My本棚」はまさに本棚としての機能を発揮し、暇なときに眺めるだけで「あ、この本また読もう」とか「この前読んだ本ってそういえばこの本に繋がるな」とか、知的好奇心が良い具合に刺激される。会社に出社しているときに読みたくなった本が、家の本棚にあるのか無いのかその場で分かるのも良い。
最後に蛇足だが、僕の honto / honto with の使い方を説明しておこう。まず、普段の生活で欲しい本や気になる本に出会ったときは、何も考えずに「ほしい本」に投げ入れる。買うかどうかは後で考えれば良い。2週に一度は実店舗に行く。実店舗ではまず honto with を開いて、「ほしい本」のうち在庫があるものをチェックする。リストの中からそのときの気分に合う本を選んで、実際に棚まで歩いて行ってペラペラめくる。内容と値段が許容範囲ならカゴに入れる。そうでなければそっと閉じる。そのとき買わなかった本は「ほしい本」に残るから、次の機会に買うことになるかもしれない。書店を歩いていると気になる本がわんさと出てくる。予算の都合で買えなかったり、購入を迷ったりした本は、例によって「ほしい本」に入れておく。値段で躊躇してしまった本は、家に帰ってからネットで評判をじっくり調べて、オンラインストアから通販すれば良い。本を読み終わったあとは、「My本棚」からその本を選んで、他のユーザーの書評を読むこともある。honto はブクログや読書メーターと連携しているので、たいていの本には先人の書評がついている。このような感じで、全ての書籍・読書ライフを honto でシームレスに完結することができる。完全に素敵だ。素晴らしい。
ところで、これらのサービスのうち、紙の本のサービスの一部が2024年3月末で終了してしまう(公式サイト)。他のサービスではあまり見かけ無い「読割50」も終了してしまうようだ。紙本の通販に至っては3月末以降は他社サービスに誘導するとのことで、honto としての提供は完全に終了してしまう。心底悔やまれることである。もっと早く honto への愛を表明しておけば多少ファンが増えてどうにかなったんじゃないかと思うくらいには悔やまれる。残念無念だ。改めて、好きなものごとは好きだと大声で表明しなければならないと思わされた。遅きに失したが、せめてもの意思表明として、静かなインターネットにラブレターを放流する。