とにかく昔からこつこつという言葉と縁遠く、すぐに日記などをさぼってしまう性分だ。お散歩倶楽部の記録だけは忘れずにつけるようにしたいものであるよ……。
共にお散歩をしているそよさんと、行きたいところの話をしていたときに候補にあがったのが秩父だった。秩父に行きたいからというより、清川果林ちゃんの動画を見て、この黄色い電車に乗りたい!と思ったのである。ふだんほとんどYouTuberの動画を見ないのだが、夜行バスについて調べていたときに果林ちゃんの動画を見て以来ちょこちょこ見ている。
ということでお散歩倶楽部初のちょっとした遠出である。せっかく特急に乗るのだから……ということで、この時期ちょうどやっている氷柱を見に行くことにした。お店を調べたりはしておいたけど、あとは基本的にフリーに。旅行だとガチガチに予定を組んでしまう(組まないとうまく動けない)タイプなのだけどこれはあくまで「お散歩」なのでよいのです。
10:00 池袋
ラビューの始発駅、池袋で集合。だいたい30分間隔で運行しているので、10:30池袋初のきっぷを購入して、乗る前の支度をしていたらあっというまに出発時間に。
黄色い座席はかわいいだけじゃなく、座り心地が良かった。でもわりと小さめな座席なので、身体の大きい人だと窮屈かも? 秩父までは1時間強かかるので、改札内で発見したマネケンを食べたり、そよさんが持参した「バターのいとこ」をちょっともらったり。途中、前日から始めたばかりのNCT ZONEをやっても許してくれるそよさんに感謝。
12:00前 西武秩父駅
そうこうしていたらあっというまに秩父。西武秩父駅は「観光地の駅」という風情で、隣接する「祭の湯」だけでも秩父を満喫できるんじゃないかと思う。入らなかったけど温泉もある。
この日は寒いし雨模様ということもあったのか駅前にも人がまばら。街にはチェーンではない個人経営のお店が多い印象。軒並み開店して……いるのか?という感じで、入店時にちょっとためらいが生まれるかもしれない。
「令和」とあるからには新しめなはずなのに年季を感じる「秩父物産市場」。お店自体は昔からあるのかも。
鳥居に挟まれたこれはなんだろう?と言いながら通り過ぎた。秩父神社の「御旅所」(お祭りのときにお神輿を一時的に置いておく場所)らしい。今回秩父を歩いてわかったのはとにかく冬の夜祭を中心にできている街ということ。
手を加えたひとはさぞ楽しかったろうよ。
12:10 秩父肉汁そば 山寿
秩父はお蕎麦ということだったので肉そば(そばは合わせ盛り)を食べる。わたしは麺は基本細麺が好きなので、やっぱり細いほうが好きだった。かなりお腹いっぱいに。
本館は人がいっぱいで離れの方に案内されたのだけど、居心地がよすぎる。おばあちゃんちもしくは学生のころの合宿を思い出す和室。小学生のころ、冬になると教室に大きな石油ストーブが出されていて(2024年はもう無いんだろうか)、早めに登校すると人のいないつんとした教室の空気の中に独特のにおいが漂ってきてすごーーーく好きだったことを思い出す。これってほぼ「冬はつとめて」ってことではなかろうか。お腹を満たして身体をあっためたらまた出発。
13:30 パティスリーイシノ
近くにおいしそうだな〜と思っていたパティスリーがあったので寄る。迷ったけど結局2024年の限定のチョコレートのクッキー缶を購入。
帰ってから食べたのだけどどれも本当〜〜〜においしかった……。右下のブルトンヌショコラが特に好きだった。また秩父に行くことがあったらきっと再訪するだろうし、通販でもお取り寄せできるようなので、ちょっとした贈りものとかにもよさそう。
13:30 ちちぶ銘仙館
パティスリーイシノからほど近いところにあるちちぶ銘仙館へ。秩父の特産である銘仙について学べる施設なのだけど、建物自体が登録有形文化財ということで、むしろ建物のほうに興味があった。
銘仙の父のような存在の胸像。駅前にも秩父鉄道の父のような存在の胸像があり、地元の名士を大切にする街のようだ。入館料を支払って中へ。秩父のお店はとにかくPaypayが普及していて、楽天経済圏のわたしは歯が立たない。
ぽてくまくん(秩父のB級グルメ・みそポテトの妖精)だ〜と思って目をやると見慣れたキャラクターが……! どうやら柿喰う客が秩父で公演をやるのでそのビラが置いてあったらしい。
和洋折衷。ここは本当に何の説明もなくぽつんと現れた一室。こういう部屋が欲しい。
銘仙の歴史についての展示もあるけれど、メインは体験の方っぽいな〜と思いながら館内をぶらぶらしていると、銘仙館の方が声をかけてくれてちょうどいいから説明しますね〜と言って展示室で銘仙の歴史についての説明と、工房の方にまで入れてくれて実際の作業風景を見せてくれてありがたかった。蚕といえばわたしにとっては金子みすゞの『不思議』の一節〈わたしは不思議でたまらない、青い桑の葉たべている、蚕が白くなることが〉だなあと思いながら聞いていた。「秩父の夜祭が12月におこなわれるのは養蚕業が落ち着く時期だから」と聞いて納得。当日は天候の問題で見えなかったけれど、武甲山という山がセメントをつくるために削られていっているという話も聞いて、産業とともに育ってきた街なんだなあと思った。
工業的・機能的な美にはなんともいえずうっとりしてしまう。機織り機を実際に動かしているところって初めて見た。鶴の恩返しだ。
14:30 カフェ千茶古(ちゃこ)
氷柱を見に行く前にお茶。千茶古と書いて「ちゃこ」と読む。頼もうと思ったものが売り切れていたのでレモンタルトのコーヒーセットを頼む。
ミルクやお砂糖のいれものがとってもかわいい。
いろいろなデザインのカップもとってもかわいい。カップもはまり始めたら止まらない奥深い趣味なんだろうな〜ということを考える。自分が基本的に収集欲のない人間でよかった。
カウンター奥にはたくさんのカップが並んでいた。きれ〜。
16:00 西武秩父駅
氷柱のある芦ヶ久保駅に向かうため、いったん秩父駅に戻る。芦ヶ久保駅ではあまり何も買えないかも?と考えて、帰りの特急内で食べるおにぎりを買っておいたり、みそポテトを食べたり。みそポテトはこれぞB級ぐるめという味がした。
意外とぽてくまくんには出会えなかった。絵だとそんなにかわいくないんだけど立体だとかわいいはず……なんだけど、結局立体には出会えなかった。悲しい。
うっすら見えるのが武甲山、のはず。
17:00 芦ヶ久保駅
西武鉄道で芦ヶ久保へ。駅のロケーションがもう山。森林って音を吸い込むから寒さや静けさが強調されるのかなあと思う。駅のホームに降り立ったときの感じにうっすらと覚えがあったのだけど保津峡駅だな。とにかく山ということです。
ほんらい土日の氷柱のライトアップには事前予約が必要なのだけど、西武鉄道利用者は予約なしでOKらしい。整理券をもらって、完全に暗くなるまで駅周辺で少し時間を潰すことに。といっても道の駅くらいしかない……と思っていたのだけど、駅前に無料休憩所があった。しかもおしゃれキャンパーの山小屋みたいな雰囲気。ここがすごく居心地がよかった。将来的にこういう概念になりたい。
暗くなったので氷柱の会場へ。思ったよりもしっかり坂道を歩いたけど、道自体はふかふかで整備されていたので全然歩きにくくはなかった。ただかなり暗いし、もしここで転んだら終わるな……という箇所もしばしば。
残念ながら暖冬の影響で氷柱があまり育っていなかったようだけどそれでも十分きれいだった。芦ヶ久保は人工(スプリンクラーで水を撒いて氷柱をつくる)だけど、天然の氷柱はどんな感じなんだろうな〜。ライティングが妙に柿喰う客っぽい色づかいだった。
氷柱を見終わって、帰りの特急(ふだんは芦ヶ久保には止まらないけれど、氷柱の公開時期は特別に止まるらしい)までに少し時間があったので、道の駅の食堂でこれまた秩父名物のわらじカツ丼をテイクアウトして、無料休憩所で身体をあたためる。無料休憩所のオーナー?がその場にいた人たちにふるまってくれた焼きしいたけがめちゃくちゃおいしかった。やっぱりこういう概念になりたい。
ネットでおまかせで予約したら先頭車両の一番端の席を割り振られてしまったり、わらじカツ丼のボリュームがすごすぎて子供のころはわからなきった「つけあわせのお漬物」の重要性に想いを馳せたりしていたらあっというまに池袋着。
歩数は13,000歩ほど。でもいつもよりアップダウンが激しかった気がする。がっつり歩き回る装備がほしいなと思った秩父さんぽであった……。
ちなみに、おにぎりは翌日のお昼になりました。