2023年に映画館でみた映画のちょっとした感想めも。ネタバレ配慮なし、複数回みた映画も項目としてはひとつにまとめるとします。
・RRR
2023年の映画初め、あまりにも景気がいい!バーフバリは未見だがバーフバリをみると生命力がもらえるということは知っているだけのニンゲン、人生初のインド映画。そろそろみないと上映が終わる!これは絶対に映画館でみたい!つってヒューマントラストシネマ渋谷に駆けこんだらその後アカデミー賞をとったことでモリモリ再上映されていたしなんか一生RRRを上映している劇場もあってのちのちウケた。音楽がメ~ッチャいいし景気もメ~ッチャいい。あさいちでRRRをみた日の夕方にTVで流れていたヒロアカがホークスとエンデヴァーの回でその日はジョジョ1部~の鑑賞会をしたので、朝からずっと特濃男男ビッグ感情を浴び続けているな……と思った。バイクと馬で並走しているシーン、立場は違えど並んで走る友だということが何より雄弁に伝わってきてとても好きだった。
・THE FIRST SLAM DUNK
2022年12月(公開翌週末)が初見、その後年明け、春先、初夏、夏のさなかにみにいって、ドルビーサウンドとIMAXもしっかり堪能した。こんなに音響にこだわって映画をみたのははじめてのことだったので楽しかった~!いつ行ってもあの沈黙の数秒を守る客席に恵まれてありがたいことだなあと思ったし、何度みても井上先生のあの絵が動いていることに感動したし、中学生の頃はじめて漫画でよんだ時からずっとずっとミッチーは泥くさくてかっこいい。
・シン・仮面ライダー
仮面ライダーは平成ライダーをちょこちょこつまみ食いしていて初代ライダーについてはウィキペディア程度の知識を有する庵野秀明監督とエヴァンゲリオンのファン、めちゃめちゃ楽しかった。シン・ゴジラのあとのシン・ウルトラマンでこれは……わたしはすごく好きだけどシン・ゴジラほど大衆ウケはしないんじゃあないか……と思っていたがシン・仮面ライダーをみてシン・ウルトラマンはあれでもかなりまろやかだったんだな!??と思った。(し、人を選ぶ映画だけれど好きな人はめちゃめちゃ好きだろうな……わたしはめちゃめちゃめちゃめちゃ好き……と思っていたので、シン・ウルトラマンよりとっつきずらいかも!という感想を受けてじゃあやめよかな……と仰っているツイートをちらほら見かけてそんなあ……としょんぼりしていた……。)仮面ライダーが大好きなおたくが作った仮面ライダーの映画、とにかく初代へのリスペクトをビシャビシャに浴びられてきもちよかったしサイコーの男女を見せてもらったと思ったら特大女女感情を浴びて宇宙猫になったしハチオーグのキャラクター造形が本当にずるい……棒読みの「あらら。(句点を感じる響きだった!)」が好きすぎる……。思えば2023年公開の作品をみたのはシンカメが最初だったけれど、2023年は原作・原案・オリジナルに対するリスペクトをビシャビシャに浴びられる作品がめちゃめちゃ多くてうれしかった~製作側の愛と気合を感じる作品、大好き!
・映画刀剣乱舞 -黎明-
あらゆるさにわと刀の組み合わせの詳細、もっと見せてくれや!と思ったけれどそれをやるともう映画じゃなくてドージンシになっちゃうよな……ギャルとへし切長谷部の組み合わせだけでもうまんぞくだし窓際公務員のことを正しく評価する長義がいいなあと思った。
・東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-
はねみやが最高すぎてみてからずっとうめいていた。村上虹郎さんの羽宮一虎、本当に……狂気じみた笑顔の裏ににじむ危うさ、悪意でしか自分を守れない幼さ、ぜんぶが詰まっていて、こ、このひとに9巻軸のはねみややってほしすぎる………とずっとうめいていたし実写の半間くんの食えなさがめちゃめちゃ好きなのでばるはらのシーンでずっとメチャメチャだった。あと本当~~にちふゆがよくて……タケみっちの相棒のちふゆが大好きだから、ふたりの出会いと手を組んでばじをすくおうとするさまをサイコーの形で実写化してもらえて本当にうれしいし、ばじふゆとらの3人が好きな身としてマジでキャスティングに感謝……。
・名探偵コナン 黒鉄の魚影
すごい……コ哀の人間……息してるのか…………?江戸川コナンくんと灰原哀さんと毛利蘭さんの関係が好き、というかふたりにすくわれてふたりのことが大好きな灰原哀さんが大好きなので、人工呼吸のくだりも「返却」のくだりも完璧すぎてうめいちゃったな……。映画をみにいった日はブルーロック、ジョジョ5部、Fate UBWをちょろっとずつ流しながら仕事していたので、なんか今日ずっと諏訪部さんの声聞いてるな……しかもぜんぶ全然違う声だ……演技が……うまい………と感動した。そして流れた2024年の予告、怪盗キッドの声で発狂して勢いのままに映画みました!???とひとさまにLINEした。2024年の映画初めは怪盗キッドにするぞ~!
・ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(吹替)
絶対に4DXでみる!!!!とこころに決めてずっと楽しみにしていたし4DXでみたマリオは本当にたのしかった~~!しがない配管工がお姫様を助けるという設定をきちんとストーリーに乗せ、耳馴染みのある声も使ってゲームのあらゆる設定やステージを再現するように物語が進んでいってずっとワクワクしていたし、名探偵ピカチュウをみた時のような、幼い頃からずっと親しんできたコンテンツがこんなにたくさんのひとに愛されてみんなの「生活」に根づいているんだ……という感覚になれたのがとてもよかった。いやもうシンプルにたのしかった~~!GWに上映したのも天才!エンターテイメントってこゆことじゃん!
・岸辺露伴 ルーヴルへ行く
終始暗くてじっとりした空気感の中黒い絵にあてられることもなく光を損なわない女、泉京香!!!原作は原作として大好きだけれど、実写版の世界に泉ちゃんがいることで愛した女のうつくしい黒を描きたいという男の想いを受け取ることのできる存在がいるんだなあと思い、その存在のやさしさを想った……。ドラマにも言えることではあるのだが、あの奇妙な短編を原作の良さを損なわずファンがニヤリとする小ネタも挟みながらひとつの作品としての完成度も高い映画をお出しされること、シンプルにすっご~い……と感動する。もともとジョジョを知らずに動かないの漫画だけ読んでいて、ヘヴンズ・ドアーの能力と岸辺露伴が漫画家であることだけを知っていてドラマをふんわりみていたニンゲンなので、しっかりジョジョをよんでから映画をみられてうれしい~。
・東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-
あ~ここでこう終わる……終わってしまうのか……9巻軸やってくれ……村上虹郎さんの9巻軸はねみやがみたい……頼む……聖夜決戦も……頼む……………。
・君たちはどう生きるか
感想をうまく言語化できないし、無理やりに言語化することは無粋だし、誰かの感想を読んでそれを自分の感じたことと似ていると納得することも無粋だなあと感じる映画だったし、この映画をみたのが学生時代ではなく、30歳を目前にした今でよかったなあ(学生の頃だったらよくわからなかった!で終わってしまったかもしれないななあ)と思った。30歳を目前にした今のわたしはとても好きな作品だし、おぼつかない手つきだとしても、時々崩してしまったとしても、つみきを積んでいこうと思う。
・リバー、流れないでよ
登場人物全員がタイムリープを自覚している設定の2分間のタイムリープもの、設定だけでもうおもしろいのに2分間のワンテイクをひたすら重ねていく撮影方法でよりおもしろい、これ舞台でやってもおもしろかっただろうな~でも映画だからこそのおもしろさもあるな~!森見登美彦作品ファンとして上田誠さんの脚本をめちゃめちゃ信頼しているのでふつ~にたのしみにして行ったけれど、期待以上におもしろかった!ちょっとだけ前向きになれるすこしふしぎコメディ、趣味の合うひとには勧めたいな~と思った作品。
・ヴァチカンのエクソシスト
本当に情緒がグズグズな時期にエイヤというきもちで映画館に行って、映画を観ながら本当にドキドキして鑑賞後も心臓がドキドキしているのを感じながら帰路について、ああこんなに情緒がグズグズで虚無でも映画館で映画をみればその世界に没入できるんだ、まだわたしってドキドキワクワクできるんだ……とひとり感動した、映画館に足を運ぶようになったきっかけの作品。ジャンプスケアもありきちんとホラー映画な上でキリスト教の負の側面も描いた最終的に胸躍るバディもの、続編であのふたりの活躍がみたいすぎる~!本当におもしろくて、これ絶対好きだろうな、今週で公開終わるところかなり多いけれどみにいってくれないかな、と思って連絡した知人がちょうどほぼ同じタイミングで鑑賞していておもしろかった!と言い合えたこともうれしかった。自分がサイコー!と思った作品をサイコー!と共有できる相手がいるということ、とてもうれしい。
・ミンナのウタ
GENERATIONSが出演するなら……ジャパニーズホラーこわいけど……映画館でみたい……!!とさんざん悩み、マジでこわかった時に誰にも共有できないのは無理……!!!!ということで母親に泣きついて舞台挨拶LV回に同行いただいたのだが、土曜日の朝いち、客入りもまばらなシアターで映画をみていたら開始30分もしないうちに場内に明らかにいびきと思われる音が響き始め、まあ朝だしな……仕事で疲れてる中舞台挨拶見たさでかけこんだのかなおつかれさますぎる……と思いながら鑑賞を終えた(途中スタッフの方が声かけをしているのが見えた)のだが、帰り際にそのあたりの席をちらっと見たら「鬼ころし」と書かれたワンパックを抱えた高齢の男性がシートに寄りかかって寝ていて、な、なんで……!???と大ウケしてしまい、こわさもなんもかんも忘れてしまった。あといちばんヤバイママループ部分だけはヤバそうと思ってスクリーンから目をそらしていたので事なきを得た。付き合ってくれた母は「こもりさんすぐいなくなっちゃって残念だったね……」と気遣ってくれてやさしかった。陽キャのあらんくんは霊にはとりこまれませんよね~!とか、ふだんはニャハニャハしてるけどモニタリング爆破ドッキリの時もかなりきつめの口調でスタッフさん問い詰めてたしメンバーに危険が迫ってたらこれくらい口調きつくなるよねとか、ゆうたくんは霊と波長が合っちゃうしヘンに巻き込まれますよねとか、さのさんがわりと冷静そうに見えてこもりさんの安否をかなり気にしてるのわかる~とか、おたく目線でも「らしさ」を感じられてたのしかったし、初報で想定していたよりちゃんとホラー映画をしていた(もっとファンムービーになると思っていた)ように感じてすごくおもしろかった。予告映像がバトルオブサイタマで流れた時にガチめの悲鳴があがっていた(その後流れていたMY (K)NIGHT予告に対するものとは明らかに悲鳴の「質」が異なっていた)のもよかったです。
・イノセンツ
「童夢」は未読、ポスターと「『ミッドサマー』を継承する新たな鬼才が放つ北欧サイキック・スリラー」という売り文句に惹かれて鑑賞。過剰な説明や台詞はなく、うつくしい風景とこどもたちの交流の中で「イノセント」な悪意が加速していくさまを描かれていてすごくよかったけれどすごくイヤ~~な映画だったけどすごくよかった!し、これは配信でみたらうまく没入できなかったかもな、と感じたので、劇場でみてよかったな~と思った。言葉を発することができない、痛みを伝えることのできないアナは、けれど痛みをたしかに感じているのだとイーダが理解していくさまがすごく好きだったし、自分の痛みを伝えることすらできない弱者のイーダが強いパワーを持っているということもすごく好きだった。クライマックス、こどもたちだけは何が起きているのかを理解している、見守っているけれどおとなは何も気づいていない、おとなが何も気づかないままにすべてが終わっているところが、こどもたちの閉じた世界観を感じさせてすごくいい~……と思いながら鑑賞後「童夢」のウィキペディアであらすじをよんだらけっこう漫画のままなんですね!??とビックリした。
・SAND LAND
イノセンツとハシゴでみたので、イノセンツをみてじっとり沈んだこころをすごく前向きに変えてくれて正解のハシゴをしたな~!と思った。これを情操教育にした方がよくない!?夏休み映画としてお出しされるアニメ映画としてこれ以上の「正解」なくない!??!?あんまりにも男児ごころがくすぐられすぎて、もうとにかく男児にみてほしくて兄に「甥っ子を連れてSAND LANDをみにいってくれませんか」と連絡したら既読無視されてウケた。スタンプくらい返してくれてもよくないですか?初期ドラゴンボール(悟空がちいちゃい頃)とDr.スランプとともに幼少期を過ごしたわたしに刺さりまくるキャラ造形!メカ!わかりやすい勧善懲悪と人を殺さない(人を殺すこと、戦争や弱者を踏みにじる行為を「悪魔よりも悪い」と評する)倫理観!マジでこれを情操教育としてあらゆるこどもたちにみてほしい、2023年にみた映画の中でも特にひとに勧めたいと思った作品。劇場予告をみるたび絶対おもしろいんだろうな~たのしみだな~とは思っていたけれどこんなにおもしろいなんて聞いてない!と予定外にパンフも買ったしパンフを読んだら映画を作っているみ~んなが鳥山明先生のことが大好きなひとたちでニコニコしちゃったし完全版の単行本も買った。
・ホーンテッドマンション(吹替)
アトラクションムービーと銘打たれているからには4DXでみよう!ということで4DX鑑賞!個人的には旧作よりも今作の方がアトラクションの要素を感じられて好き、というかアトラクションの要素を詰め込めるだけ詰め込み設定に矛盾もなくひとつの物語として成立させた上で登場人物がみんな魅力的(物語の進行を妨げるキャラクターがいない)できちんとカタルシスのある作品なのが本当にすごいな~!と思った。なぜ999人の幽霊がそこにいるのか、1000人めの仲間を待っているのかの説明と理由づけをしっかりした上でそのアトラクションの設定を物語の舞台装置に使うところがうま~い!と思ったし、「座っている椅子が動く」というアトラクションの構造まで映画の中で使ってもらえてもちろん4DXでは椅子が動いて、本当にたのしかった~!これまたパンフでは製作陣のアトラクションに対する愛情がビシビシ伝わってきてサイコー。わたしもホーンテッドマンション大好き!
・マイ・エレメント(吹替)
ひとりの女の子のこころの成長を「擬人化した感情たちの冒険」として描いた「インサイド・ヘッド」といい、ピクサー作品は比喩表現が上手だなあとしみじみ思う。差別や格差を「異なるエレメント」としてわかりやすく、けれどマイルドに描いた上で互いに手をとりあうこと、被差別者側が抱く傷やくるしみ、それゆえに発露される攻撃性を描いているところが本当にすごいし映像がとにかくきれいでロマンチックだった。わたしはディズニー/ピクサーの描く自立心のある、自分の夢を持った活発なヒロインが好きなのでもちろんエンバーも大好きだし、自分の抱く自分だけの夢、恋と家族に対する愛情が両立しえないと感じた時に見せた葛藤にすごくこころが揺さぶられた。マイ・エレメントに限った話ではなく、昨今の風潮として「愛していることとすべてを許容すること・従うことは同義ではない」という感覚が広がっていることがすごくいいなあと思う。
・ローマの休日
実は完全初見、大画面でオードリー・ヘプバーンをみたい!!!のきもちでみにいったけれど本当~~~にオードリー・ヘプバーンは可憐という形容詞を体現している……と噛みしめた映画体験だった。新聞記者と王女さまのひみつの逢瀬、という大筋だけは知っていたけれど、想像よりもふたりはお互いの打算のもとで行動していて、打算で行動していたふたりが次第に素の笑顔になっていくというか、相手を想って行動するようになっていくさまを言外に描いていくこと、白黒でも伝わってくる次第に色づいていく空気感とこれから先彼らの人生が交わることは二度とないのだということを感じさせながら閉じてゆく物語がすごくすてきだった。長い人生のたった一瞬、たった一点だけがほんのすこしだけ交わったあの日が、彼らの中で輝き続けるということ、あんまりにもうつくしい作品だ……。
・ジョン・ウィック:コンセクエンス
夏映画に行くたび予告をみてはこれ絶対おもしろいじゃん……シリーズ1作もみてないけどこれ絶対劇場でみたいじゃん……つってネトフリでシリーズ全作みて満を持してIMAXでみにいったら開始即ジョン・ウィックが劇場を破壊するんか?みたいな重低音で殴られてもうサイコーになってしまった。個人的には1作めがいちばん好きではあるのだが、今作は1作めに並ぶくらいに好き、というかありがとうトンチキジャパン、サイコー!掟よりも友情を優先する、娘の杞憂をつめたく切り捨てながら娘の無事を守ろうともする粋な男として日本人を出演させていることとコンチネンタル・オーサカのトンチキジャパンぶりだけでもう映画代のもとはとれているのに一生ドンパチしているしドンパチのバリエーションはとにかく豊富だしクライマックスの決闘もアツくてかっこいい。ジョン・ウィックはあくまで愛を貫き生きていたいだけで誰かを傷つけたい訳ではない(しかし自分を殺そうとする相手には容赦はしない)というキャラクター造形が本当に好き。ドンパチ他もろもろの音圧と臨場感がすんごくて、シリーズ一気にかけぬけて正解だった~!
・コカイン・ベア
ジョン・ウィック鑑賞後にハシゴ鑑賞し、わたしはいったい……なにを……?という気分になりながら席を立ったら満席のシアターにいるお客さんみんなが同じような顔をしていてオモロかったし映画もオモロかった。クマがコカインをキメたスプラッター映画、以上の説明のしようのないそれなりにおかねのかかったB級映画なのにファッキュー家父長制!というメッセージも感じられてそれもなんだか腹立たしい。開始直後に表示される出典:ウィキペディアのテロップに始まり友人と共有したいアホポイントがあまりにありすぎて、しかししっかりスプラッター映画ではあるので人を選び、な、なんだよ……!こんなのみんなでピザ食べながらみたい映画じゃん……!!!!
・バーナデット ママは行方不明
2023年映画について最たる後悔は「TAR」を劇場でみられなかったことなので、なんか好きそうな気配のするケイト・ブランシェットの映画!ゼッテー行く!と行ったが、なんだか想定外にメチャメチャ刺さってしまいほろほろ泣きながらエンドロールをみた。行方不明になっていたのは「ママ」ではなく「バーナデット」という「個」であり、ママとなったことでその「個」を見失っていた女性がおのれの生きる場所、息のしやすい場所を見つける物語だったので邦題も予告もなんか……なんかちがくない……?というきもちになったのだが、だからといってあれ以外で訴求力のある広告を出す案も思い浮かばず、難しい……と頭を抱えるなどしていた。自分が今、自分の息のしやすい場所を探したいと思っているから、自分の息のしやすい場所がどこかにあるはずだと祈っているから、ずっとうまくいかない、不機嫌そうにしていたバーナデットがきらきらかがやく表情で北極基地の案を話しているさまを見ていいなあというきもちと、ああやっぱり、きっとどこかに、わたしにもその場所があるんだ、という安心を感じた。
・シアター・キャンプ
ミュージカルを大好きな人がミュージカルを大好きな人たちを描いた映画という感じだったのだが、元ネタにされているであろう作品をあまり知らずにくやしく思った~……教養は世界をよりたのしくしてくれるのだ……。キャンプに来るこどもたちはマイノリティに属するこどもたちが多い、けれどキャンプに来れば誰もが役割を持って人生の主役になれる、という概念がすごくすてきだな~と思ったし、ゲイカップルの養子の男の子が自分は異性愛者だと意を決して告白するシーンにはっとした。若いクリエイターがこの登場人物たちを生み出してこのモキュメンタリー作品を作っていること、いいなあ~……。内容を全肯定はできない、というかみながらイライラするシーンもちょこちょこあったのにミュージカルのクライマックスにはしっかり感動させられて、これがミュージカルの持つパワーなんだよなあ!!!と納得したことと決してすべてが後味よく終わらないところがとてもよかった。
・BAD LANDS バッド・ランズ
劇場予告をみて気になってはいたけれど優先順位はけして高くないけれど気になってはいる……山田涼介って本人は悪くないのに作品に恵まれない印象あるんだよなあ……と思っていたところで知人に誘われていっしょに鑑賞したらめちゃめちゃめちゃめちゃ好きな映画でウワーーーー!となった。とにかく安藤サクラさん、ネリが本当に好きだし好きすぎてネリの画像を見せてこゆきんぱつにしてくだしゃい!!!!つってピンクオレンジに染めた髪をゴリゴリにブリーチしてきた。ネリの愛情深さと向けられる愛情に対する自覚の薄さ、ジョーのいびつな純粋さ、登場人物全員の造形のかっこよさとふるびてくたびれた、けれど生命力に満ちた世界観、暴力的な映画にもかかわらず暴力を悪として描いているところ、伏線回収のうまさ、も~~ぜんぶが大好きすぎて円盤が出たらたぶん買う。わたしはファム・ファタールによわくって……「共犯」「擬似家族」にもよわくって……。誘われなかったらたぶん結局みにいかなかったので、誘っていただいた知人にウルトラ感謝。ふだんは量が多くて食べられないTOHOシネマズのシネマイクポップコーン(しょうゆバター)をいっしょに食べてもらえたこと、映画があんまりにもおもしろくて好きすぎてぎりぎりまで感想を話したいからと駅のホームでずっと話していたこともとてもうれしかった。
・シック・オブ・マイセルフ
ポスタービジュアルが好きでみにいったら思いのほかつきささりすぎてすんごいダメージを負って帰ってきた。すっごく好きだけどしばらくもうみたくない。承認欲求に振り回される人間をかなり冷笑的に描いたブラックコメディ、とにかく映像の色使い、構成がめちゃめちゃ好きだしオシャレだ~と感じたけれど作中の登場人物の底の浅さに自分を重ねてしまってメチャメチャになったし「自分を可哀想だと思ってる?可哀想だと言ってほしい?」という問いを引きずりすぎてマジで体調を崩した。自分を可哀想だとまったく思っていないと言えば……それは嘘になるから……哀れんでほしいという感情も……まったくないとは言い切れないから…………。作り手の性格の悪さとセンスの良さ!!!!!とずっとうめいていたし本当に本当に好きだけどしばらくもうみたくない……傷つくから……。
・北極百貨店のコンシェルジュさん
「シック・オブ・マイセルフ」がつきささりすぎて本当につらくてしばらく映画をみるのももういやだ……絶対にやさしい物語しか浴びたくない……これは絶対に絶対にやさしい物語………とうめきながらみにいった本当にやさしいアニメ映画。原作未読で鑑賞して変わらず未読なのでそのうち原作もよみたいきもち。「仕事」というものに対しての感情とずっと折り合いをつけられずにいる、というか自分の中でも整理できずにいるので、すこしふしぎでやさしい世界観で前向きなお仕事映画をみることができてとてもよかった。MOVIX川口に行ったら「翔んで埼玉」の撮影スポットとして関所が設置されており、エッもう公開なんだっけ?と調べたら公開よりはるかに早く撮影スポットが設けられていたことを知りその前のめりさにウケた。
・鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
鬼太郎さんが人生の初恋のフォロワ~が「義父と義父の出会いの映画が今度あって……初恋の人の誕生についてふれられるらしくて……」と仰っていたことで地味に情報を追っていたゲ謎、鬼太郎はふつ~に好き(というか「犬夜叉」をはじめとする妖怪ものに人生を彩っていただいている身として水木しげる御大のことは「祖」と思っている)だしこれたぶんすぐ終わっちゃうだろうから早めに行っておくか~と公開翌日の朝にみにいき鬼太郎ファンの方の感想などを読んでたのしんでいたら知らぬ間に爆バズりしていてビビり散らかした。自分の初見回、グランドシネマサンシャインの狭いシアターが中年~壮年の男性とちょこちょこ女性で埋まっていて、ああ皆さん長年の鬼太郎ファンなのだなあ……と感じたしパンフを読んだら製作陣もとにかく鬼太郎、水木しげる作品を大好きな方たちばかりで本当にいい作品だな……と思った。前述の通り妖怪もの、人外と人間の物語が好きだし昭和文化が好きなので作品としてとても好きだったのだが、自分でもふしぎなほどに龍賀の女たちにやられていてどうして……と思っていたら「I beg youを歌うのがうまい女」という感想を見かけてすべてが腑に落ちたしその余波で間桐桜に想いを馳せてひとりでメチャメチャになった。スラムダンクといい鬼太郎といい、往年の名作を改めて爆バズりさせる東映アニメーション、スゲ~……というきもちと、往年の名作は往年の名作たる深みとよさがあるのだな……を再確認するきもちになった。
・ゴジラ-1.0
神木隆之介くんのことを「一方的にずっと知ってる同級生」だと思っているふしがあるので、神木くんが「ゴジラ」で「復員兵」を演じるということにおおきな意味を感じみにいったら神木くんの演技が本当にうますぎて神木隆之介さん……スゲー……と呆然とした。(し、やまゆの方が若輩者の役なんだ!??とビックリした)ゴジラのことを「怪獣」というより「水爆実験・原子爆弾のメタファー」として認識しているので、だからこそゴジラを災害として描いたシン・ゴジラが好きだったし今作のゴジラの描き方も好きだな~と思った。ラストで典子さんの首筋にあった黒い跡をわたしは原爆症のメタファーとしてとらえたのだが、ツイッターでは続編への布石としてとらえている方がちらほらいて、なるほどなあと思った。作品全体を全肯定することはできないけれど、ゴジラの70周年記念作品としてこの作品が作られたことにはおおきな意味があるのだろうなあと思ったし本当に神木隆之介さんの演技がうますぎる……あの演技にチケット代の価値がある………。あとやっぱり怪獣映画は映画館の音響で堪能したいよね!
・エクソシスト 信じる者
好きだと思う部分とウーンと思う部分の両方があって全肯定することができない(ふたりの少女を記号化した時にどうしても生まれてしまう印象とか……そういう部分が……)のだが、2023年は「信仰」について考えることが多くあったため(VOODOO KINGDOMを聞いている間だけは「無」でいられることで「DIOを信仰しているつもりでいることで世のくるしみから目をそらすことができる」夢小説の概念を得て、では正しい「信仰」とはなんなのか?をずっと……考えていて……)、「信じる」ことをキーとした作品であることが自分の中でわりとヒットしたなあと思った。3部作の1作めということでウーンな部分については盛り返してほしいきもち……。インターネットをみたらだいぶ酷評されていたが、個人的にはきちんとまとまっている作品だと思ったしけして嫌いではないです。
・MY (K)NIGHT マイ・ナイト
BATTLE OF TOKYOライブ会場で予告映像をみた時にア~小竹作詞って感じの世界観……これはノットフォーミーだわ……と見送るつもりでいたところ、公開後fam外から好意的な感想をちらほら見かけたことで興味を持って鑑賞。「昨日より赤く明日より青く」の「真夜中のひとりたち」に近い内容で、当該作がメチャメチャ好きだったのでこれもふつ~に好きで、いやむしろこの内容の映画からなんであんな予告映像になった?????と首を傾げたしLDHのプロモーションって……「こう」なんだよな…………と勝手に頭を抱えた。スリボのファンムービーと見せかけて物語の主役は女性たちのように思えるし、女性陣がとにかくよかったし、その上でスリボの演技もよくて、というか女性たちを救うことはできなくても掬うことはできる彼ら、たった一夜で人生は変わらないけれどほんのすこしだけ見える世界が変わることはある、というやさしさを感じて、本当に良い作品だったのにこれ……こういうのが好きな層に絶対届いてないでしょうあのプロモーションでは………と本当に勝手にせつないきもちになった。映像がオシャレとオサレの紙一重という印象を受け(わたしは好き)若干画面に酔いそうになった。物語としてはさっちゃんが、キャラクターとしてはmiyupoがすごく好きだ~。
・翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~
どうせ行くなら埼玉県民で埋まってる劇場でみよう!と映画館を調べ、公開から半月が経ってなお上映2日前に半分以上座席が埋まっているTOHOシネマズ池袋に大ウケしてチケットをとったら当日満席かつ武蔵野線という池袋を通っていない埼玉~千葉のローカル路線の話題でいちばん場内が盛り上がっていて本当にこの空間……埼玉の人間ばかりなんだな……とニッコリした。映画オマージュらしきシーンが多くて元ネタがわかったりそうじゃなかったりでくやしい。ちょうど大阪府堺市~和歌山県を移動してパンダを見てきたばかりだったので堺市および和歌山のパンダが個人的にタイムリーにネタにされていてうれしかったのと、自分が映画をみにいった日に埼玉県内で研修を受けていた母が「行田の人が『現在公開中の翔んで埼玉では行田は大活躍で……』て言ってたけど本当に?」と言っていたことが本当にオモロかった。行田、前作と合わせてもおそらく埼玉県でいちばん活躍していたと思う。行田がなければ物語が破綻したと言っても過言ではないと伝えておいた。自分含め埼玉出身の人間たちは「埼玉の者として……観に行かねえとな……!」という使命感を覚えているところが本当にオモロくてそれだけで大好きになっちゃうんだよな……。「県民の日はディズニーランドに行く」、自分たちだけでなく埼玉の者みんなの共通認識なんだ……というのを映画を通じて知れたことがとてもよかった。
・市子
これも作品全体を全肯定することはできないけれど主演の演技がすごすぎてチケット代の価値以上のものを感じた作品。杉咲花さん、本当にすごかった……。作品についての前情報なく、「シック・オブ・マイセルフ」をみた時に流れた予告で気になってみにいって、この感じすごく舞台っぽいな~……と思いながらパブサして戯曲が原作であることを知った。「呪怨:呪いの家」でも感じたけれど、現実で流れていた時間・情勢にリンクするように作られた登場人物たちは独特の生々しさがあって、それがまたグロテスクでもあって、すごいな……と思う。複数の第三者の視点から描かれていく「市子」の演出がすごくうまくて、思うところはあれどとても好きだな……と感じた。誰にも守られずに「普通に」生きたいと願う市子に対して「守ってやる」と言う男の傲慢さ、加害性にウワ~ッと思ったしこれを男性が描いているのか~と感心してしまった。
・ウィッシュ(吹替)
ディズニーを好きな人たちが集まって作った感がビシビシ伝わってきてそれだけでディズニーおたくのわたしはうれしくなってしまったのだが、はたしてディズニーに対してそこまで感情がない人がこの映画をみて泣くほど感動できるのか?はおたくのわたしには判断できず、これは……フラットな視点での評価が聞きたい……と思った。「星に願いを」のアンサーとしては「プリンセスと魔法のキス」が100点満点を叩き出していると思っているのでプリキス初見時ほどの感動はなかったが、スターが「願いをかなえるパワーを持っているけれど思った通りに願いをかなえてくれるとは限らない、けれど願いをかなえる助けにはなってくれる」存在として描かれているのがすごく好きだし、星に願うという行為に対するひとつのアンサーだなと思う。スラムダンクやSAND LANDでも思ったけれど、3Dアニメが「リアルに限りなく近づける」だけから「絵を『絵』のまま立体として動かす」フェーズになったことがすごくうれしくて、大好きなクラシック・ディズニーのような背景が改めてみられてすごくうれしかったし、キャラクターと背景のタッチの違いに「眠れる森の美女」を思い出してニコニコした。パンフを読んでもとにかくディズニーが好きでディズニーをみて育ってきた人たちがこの作品を作ったんだな、これだけ多くの人にたくさんの夢と魔法を与えてきたんだな、と改めてディズニーが好きだ……を噛みしめた。(ので、本当に……フラットな評価ができない……ストーリーだけならきっとマイ・エレメントの方がよほどカタルシスのある作品だと思うのだけれど、ウィッシュに対する感情が……膨大すぎて……)
・トーク・トゥ・ミー
2023年映画おさめ!がこんなにおもしれ~映画だとは思わないじゃん???初日を逃しいつ行けるかな……と思いながらツイッターを開いたらながやまこはるちゃんが「ことしいちばん」と仰っていて、がぜん上がってしまったハードルを楽々飛び越えられたし本当におもしろかった。本当に……おもしろかった……。もともとアリ・アスターが絶賛したという売り文句に興味を持ってみにいったのだが、わ、わかる~……になり、ニッコリした。(わたしはヘレディタリーやミッドサマーで描かれている「喪失した者に対する寄り添い」が好きなので……)約90分ノンストップで進んでいく、余計なジャンプスケアはなく「90秒の憑依チャレンジ」の軸だけでしっかり描かれていく物語と収束していくラスト、次第にあいまいになっていく主人公の視点を描く演出・小道具や音楽の使い方のうまさ、どれをとっても文句をつけようがなくてすっっっごい満足感で劇場を出られてうれしく思ったクリスマスイブの昼下がり……。
おしまい!