いつか季節に沿った話をまとめた本を作りたいな〜と考えていたのですが、先日のイベントでその念願を叶えることができました。ということで今回の本の装丁の詳細はこちらになります。
『きらめきとはる』| 新書版サイズ(170×110) | 86P

【本の詳細】
▶︎表紙用紙:モダンクラフト_137.5K (CMYK印刷+シルバー)
▶︎本文用紙:オペラクリームマックス_73K
▶︎遊び紙:キュリアスメタル_シルバー_103K(前後同じ)
▶︎特殊加工:箔押し加工(フロスト)
▶︎印刷所:STARBOOKS様
今回の本は制作期間が中々タイトではありましたが、ずっと気になっていた紙や使ってみたかった箔などを色々と盛り込むことができたのでとても楽しかったです。それでは今回もいつもと同じように制作過程をざっくりと書いていきたいと思います。
まず最初に、今回の本は[写真を使う][シンプルにまとめる]という2つの点に重きを置いた本を作ろうと決めていたので、それを基に表紙のデザインを作り始めました。自分が過去に撮った写真の中から今回の本の雰囲気に合いそうな桜の写真をピックアップしてフォトショで加工し、頭の中でこんな感じにしたいな〜と考えていたものを実際にデータ上に投影していき完成した最初の表紙デザイン案がこちらになります。

今回は去年作った10月の本と同じで、表紙のデザインや加工なども含めてこんな感じにしたい!という明確なイメージが最初からあったのでいつもよりもスムーズにデータを作ることができました。そして表紙のデザインがある程度固まった後、今度は自分が使いたい紙を取り扱っている印刷所さん探しが始まりました。
今回の本の表紙で使いたいと思っていた『クラフト紙』についてはどの印刷所さんでも大体取り扱っている紙ではあったのですが、遊び紙で使いたいと思っていた『キュリアスメタル』の取り扱いがある印刷所さんを探すのに少し時間が掛かりました。
『キュリアスメタル』は表裏がどちらもキラキラしている特殊紙で前に別の調べものをしている時に見つけた紙だったのですが、質感も雰囲気もとても素敵な紙で今回の本に合いそうだったので絶対に使いたい!と思っていました。
ですが、取り扱いのラインナップには入ってるけど最初のページにしか入れることができなかったり、前後に入れることはできるけど自分が使いたい色のキュリアスメタルを取り扱っていなかったりなど色々な壁にぶつかりながらも自分の希望に合う印刷所さんを探し続け、最終的にSTARBOOKさんに印刷をお願いすることに決めました。スタブさんは在庫が無くなり次第終了となっていたのですが、キュリアスメタルを取り扱っていて欲しかった色も丁度まだ在庫があったので急いで本の仕様を更に具体的に決めて印刷の予約をしました。
スタブさんは初めて本を作った時にお世話になった印刷所さんだったのですが、取り扱っている用紙や箔なども豊富で様々な加工もできて締め切りを1日ごとに設定できる所がすごくありがたい……また利用させていただきたいと思っていたので今回お願いすることができて嬉しかったです。そしてやりたい仕様、印刷所、締切などが諸々決まったので今度は最初に作ったデザインをやりたい仕様に合わせて調整していったりしました。
今回の本は[初春]をテーマにした本にしたかったので春の初めの、まだ冬の寒さや冷たい空気が漂っている状態を視覚的に伝えられたらいいなと思い、冷たさを感じる印象を持っていたシルバーをCMYK印刷にプラスしました。デザインがシンプルな分、シルバーが良いアクセントになったらいいな〜と考えていたのですが、0%〜100%までシルバーの色の濃度配分を調整できるということと、クラフト紙に印刷した場合どのぐらいシルバーの色が出るのか、最終的な仕上がりが想像しにくかったのでデータを作るのに大分手こずってしまいました。


それとシルバー印刷のデータ作りと並行して悩んでいたのが本のサイズ問題です。今回は新書版サイズにしたい!ということは決まっていたのですが、調べてみたら印刷所さんによって新書判のサイズが細かく変わってくるみたいでスタブさんは175mm×105mmが新書判として規定されていたサイズでした。ただそのサイズは個人的にちょっと縦長すぎるかもしれないと感じたのでサイズ違いの新書版のデータを色々と作ってみた後に実際にそれらを印刷して見比べたりなどして自分が丁度良いと思うサイズを決めました。

スタブさんは[オンデマンドカスタム]だと自分の好きなサイズを1mm単位で指定して作っていただくことができるのでもし規定にないサイズの本を作りたい!となった時はすごくおすすめです。
そして諸々データを入稿し終えてから数日後、無事に本が完成しました。わ〜〜い!

今回は印刷する順番がシルバー印刷→カラー印刷だったので何かアクセントになればと思い、写真の下地にシルバーを配置して印刷をお願いしたのですが、写真と背景の柄の部分がほんのりと煌めいてる感じに仕上がっていた所がとても良かったです。ただ、背景の柄に関しては柄が細かすぎて銀インクが分かりづらい感じになってしまったのでまた別の機会に銀インクを使って何か印刷物を作る時には注意してデータを作ろうと思います。
そして今回もう一つワンポイントになったらいいなと思い、表紙タイトルの英字部分にずっと憧れていた[フロスト]という箔を使ってみました。この箔は霜みたいな見た目が特徴的な箔なのですが、今回の本のテーマや雰囲気に丁度合っていたのと、今回選んだ遊び紙との相性もバッチリだったので改めてこの箔と遊び紙を選んで良かった〜〜!と思いました。冷たい空気を含んだような箔と、マットな輝きを持つ遊び紙のキュリアスメタルと、表紙のクラフト紙のバランスが絶妙でこの組み合わせでお願いして本当に良かったです。


本文については今回は枠などは付けずに文とノンブルのみのシンプルな構成にしてみました。ただ、あんまりシンプルだとちょっと寂しいな…と思ったので本文のフォントをスタンダードなものにした分、ノンブルのフォントは今回色々な所に使用したフォントを配置してちょっと遊びを入れてみました。おかげでシンプルな紙面構成でもそこまで硬い印象は与えない感じになったんじゃないかなと思います。

あとは奥付のデザインに関してですが、今回は縦長のサイズということもあり、ちょっといつもとは違う感じのレイアウトにしてみました。こちらの本を手に取ってくださった方はその部分も注目して見ていただけたらとても嬉しいです。
ということで今回の本の話は以上となります。制作期間は短かかったものの、今回も自分がやってみたかったことを色々と詰め込んだ本が作れて楽しかったです。最後に、今回の本に合わせて作ったノベルティと本で使用したフォントのことについて書きたいと思います。

今回のノベルティは前から気になっていた金インクを使ってみたかったのでレトロ印刷さんで栞を作ってみました。表と裏で色が違う[しらす]という紙も使ってみたかったのでそれなら両面印刷にして金インクともう一色使ってそれぞれの面に印刷したら楽しそうだな〜と思い、表の白色の面は金インク、裏の灰色の面は濃紺インクで印刷をお願いしました。写真を使ったデータでレトロさんに印刷をお願いするのは初めてだったので完成したものが手元に届くまでどんな感じに仕上がるんだろうとドキドキしていましたが、綺麗に印刷していただけてとても嬉しかったです。

金インクなので通常のインクよりも手につきやすいのですがそこも味…と思っていただけたら幸いです。あとこれも面白い感じになったらいいなと思い、オプションで角落とし加工もお願いしてみたのですが、その加工のおかげで少し変わってる感じの栞を作ることができたんじゃないかなと思います。今回のものは9mmで加工をお願いしましたが、また何か機会があったら今度は違うサイズでも作ってみたいです。
それでは最後に、今回の本で使用したフォントを紹介します。


・表紙:ひらがなタイトル→ビースト明朝、タイトル英字→Nightingale(Type13)、小さい英字部分→つなぎゴシック
・目次:数字→Nightingale(Type13)、タイトル→ビースト明朝(ひらがな部分)、筑紫Aオールド明朝(漢字部分)
・章扉:ビースト明朝(ひらがな部分)、筑紫Aオールド明朝(漢字部分)
・本文:源暎ちくご明朝、ノンブル→Nightingale
自分の好きなフォントを色々と詰められて楽しかった〜〜!その中でもノンブルや英字タイトル部分で使用した[Nightingale]というフォントがとても可愛くてお気に入りです。画面に配置するだけで一気にパッと華やかになるのですごくおすすめ。また何か作る時に使いたいです。
ということで今回もいつものごとく長々と書いてしまいたがここまで読んでくださりありがとうございました…!今年もこんな感じで去年と同じように装丁についてまとめていきたいと思っているのでまた何か書いた際は見ていただけたら嬉しいです。
次回のイベント参加は5月になります。次に出したいな〜と思っている本は恐らく楽しげな感じの本になると思うのですが、まだ色々と練っている真っ最中なので引き続き頑張ります。
それでは〜!