絵を描けなくなった話

suimin
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二次創作イラストを描くのが趣味だった。かれこれ中学時代から10数年描いてきた。そこまで上手くはないがずっとずっと趣味だった。

1度目。子供ができて、かなり重いつわりに苦しめられて、趣味どころじゃなくなった。毎日嘔吐して寝たきりで過ごした。それまではほぼ毎日開いていたパソコンの前に座ることもできなくて、そんな中唯一の生きる糧になった動画もスマホで見るようになった。

子供が生まれてからも、描く暇はなかった。パソコンを開く云々の前に、パソコンを置いてある自室に入ることもなくなってしまった。私の居場所はリビングと、その隣の寝室だけになってしまった。

自室が開かずの間になって1年半ほど経った頃、iPadを買った。やっぱり絵を描きたかった。パソコンの前に腰を据える余裕はなくても、少し慣れてきた育児の合間に、iPadさえ開けばすぐに描くことができるようになったのが良かった。

それまで板タブで描き続けていたのですぐには描き心地に慣れず、ブランクも2〜3年あったので練習から再スタートした。昔、1番熱心に描いていた頃ほどの絵柄や技術、情熱は取り戻せなかったものの、SNSにもアップして交流しながら楽しく描けるようになった。

2度目。鬱になった。原因はおおよそ仕事と、体調不良によるままならなさだったと思う。イラスト以外の趣味もなにもできなくなってしまった。ここでも唯一できたのはYouTubeで動画を見ることくらいだった。ぼーっと動画を流しっぱなしにすることはギリギリできても、何かをアウトプットすることはできなかった。iPadは動画視聴のためにしか開かなくなり、イラストを上げていたSNSアカウントもあまり見なくなり、投稿しなくなった。そこでできた繋がりも、フェードアウトしていってしまった。

定期的に病院に通い、服薬し、環境も少し変わったことで、1年と少し経った今は多少症状が良くなってきている。たまにダメなときもあるけど。また少しずつ描けるようになってきた。今まで二次創作ばかりだったけど、なんとなくオリジナルのイラストや飼い猫のイラストを描くようになり、別アカウントに上げるようになった。

そして最近、ここ1ヶ月くらいの話だけど、久しぶりに元の二次創作アカウントに戻って来た。たまに見てはいたものの、イラストを上げるのは1年以上ぶりだった。直接的な交流はほとんどなくなってしまったけど、仲の良かった人たちがまたイラストを見てくれて、いいねもくれた。ずっと自分がどこにもいないような気分だったのが、他の人にも私のことが見えていることに安心した。

今は、その人たちに今までのように声をかけていいものか悩んでいる。贅沢な悩みだなとも思うが、元々リアルでも結構なコミュ障なのだ。お久しぶりです!でいいのか?久しぶりすぎて忘れられていないか?誰だっけと思われたらどうしよう?など。

全部元通り、とはいかないけれど、変化しながらでもゆっくり少しずつ、好きなものを取り戻していきたいと思っている。

@sui_min
猫と暮らすひと、ひとりごと