短歌本の制作過程おぼえがき

水脈
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23年11月に作った本(同人誌)の制作過程まとめです。

自分用の備忘録なので、ほとんど実物が手元にある前提で書いています。

あとから読み返して懐かしがるための記録なので、有益性はあまりないです。本をお手に取って下さった方で仕様や制作過程が気になる方がいれば共有したいな、くらいの気持ちで公開します。グダグダ長文なので相当読みづらいですが……!

仕様の説明等には、利用させていただいた印刷所様の固有表記を含みます。

◆ 作った本

これです。二次創作の夢短歌集。

https://booth.pm/ja/items/5132112

◆ 印刷所

株式会社JAM レトロ印刷 様

◆ 仕様

 *デジタル孔版印刷 2色刷り

 *中綴じミシン製本 174×112mm(中綴じ製本Mサイズ/長編綴じ/のりなし)

 *本文12枚/48P

◆ 用紙ほか

 *表紙:厚紙ねずみ(色数2/2)

 *本文:わら半紙(色数2/2)

 *表紙の仕様:ツヤプリ2色 ※ツヤプリ面積Aパターン

 *綴じ糸:緑×ベージュ(内側)

 *遊び紙:なし

◆ 使用フォント(サイズ)

 *表紙タイトル:夜永オールド明朝 Black

 *本文 短歌:しっぽり明朝B1(11pt)

 *本文 その他:夜永オールド明朝 Regula(8pt)

 *ノンブル:源暎ノンブル(7pt)

◆ 制作過程

① 全体の構成を決める

② 掲載歌の選定、推敲

③ 掲載順の確定、ページ数の確定

④ 見積依頼

⑤ 本のサイズ、紙面の基本レイアウト決め

⑥ フォント選び

⑦ 素材集め

⑧ 台割表の作成

⑨ データ作成

⑩ 一晩寝かせて校正、データ修正

⑪ 入稿

◆ 番外

⑫ 用語でつまずいた箇所

⑬ 表紙の試し刷り依頼(ツヤプリ試し刷り)

⑭ おまけの缶マグネットづくり

 


① 全体の構成を決める

決めたこと

  • いるもの:注意書き/中表紙/目次/本文/あとがき/奥付

  • 本文は2章立てにする

  • 章にはトビラを設け、トビラ裏は白ページにして本文は左ページスタート

③の掲載順決めにつながりますが、注意書きと目次のページ配置はしばらく迷いました。

表紙ウラに目次を持ってきて、注意書きを奥付けに記載の方がページ数の節約になる、など。

けれど注意書きは最初に目に留まる位置にしたくて、表紙ウラに注意書きを持ってくることに。

また、本文1章を右ページ終わりにしたかったところ、掲載順の調整で左ページ終わりになったため、最終的に2章はトビラ裏の右ページから本文スタートに変更。

作っているときは気になりましたが、できあがりを見たら違和感というほどでもなかったような。

「白ページが多いとかさ増しに感じる」という(同人誌コミュニティの)声をたまたま耳にして、弱気になっての判断でもあったのですが、そもそも掲載歌数は明記しているのでそんなもの気に掛ける必要はなかった。とはいえ本文を12Pに収められたのはこの調整ありきだったので、後悔はないです。

それと、奥付の「印刷所」に記入する社名について、web上に表明がなくてちょっと不安だったので、念のため問い合わせて正式表記のパターンを確認しました。「ご丁寧にありがとうございます」から始まるそれこそ丁寧なご返信を頂いて恐縮するなど。私は「社名+部門名」の表記にしましたが、部門名の「レトロ印刷」のみでもよい、とのご回答でした。


② 掲載歌の選定、推敲

50首ほど作りためた短歌の推敲、だんだん自分の中では答えが出せなくなってきて、友人にリモートで付き合ってもらいました。所要時間、なんと5時間超。持つべきものは忌憚のない意見をくれる心優しい友人です。本当に。

<相談したこと>

  • この歌をこういう(口頭説明)意図で手直ししたくて、候補がふたつあるんだけどどちらがいいと思う?

  • この歌、こういう趣旨なんだけど伝わった?

  • この歌がどうもしっくりこないので初読の印象を教えて

  • こういう内容を詠みたいんだけどぜんぜん形にならなくてさあ〜(叩き台を見せる)

  • 掲載順の候補で並べてあるので、なんとなく一連で見て並びに意図を感じる箇所(これは私の意図した掲載順がどの程度感じてもらえるかの確認)、違和感があった箇所(意図しない部分で意識が逸れてしまうのが嫌なので)があれば教えてほしい。

こうやって書くとえげつない求め方をしている。私はもともとアマチュア創作者同士の作品批評会とか好きなタイプなのですが、感想や意見を求めるのって(言われるのも)相手によってはけっこうな負担のはず。こういうのを一緒に楽しんでくれる相手と分かっているからできたことです。その場で答えがでなくても、その時の会話がきっかけで後々になって気に入った答えにたどり着けたこともありました。自分では思い至らなかった角度からの指摘や、持っていない引き出しから知識がもらえたので本当にありがたかったです。


③ 掲載順の確定、ページ数の確定

適当な紙を束ねて折り、即席の冊子をつくりました。

そこに短冊状に切った短歌を「ふせん糊」テープで貼りつけて、あれこれ並べ替えながら掲載順を検討しました。こんなかんじ。

私はB5コピー用紙を半分に断裁して使いました。貼替え用に2冊作るとより便利。ふせんのり、貼ってはがせるので気軽に順番を入替えできていい!

そして重要なのが、この即席本、面付けの確認にも使えるのです。中綴じ製本の面付け、このように↓ややこしいので、これがなかったら不安で気が狂っていたと思う。

 【タネ】おさらい!中綴じ製本のデータの作り方 https://jam-p.com/blog/nakatoji/

この即席本はその後、台割表の作成時も、データ作成の時も、つまり入稿まで手放せなかったです。

 

本文(短歌)の掲載順を決めるにあたって、難儀した点として、

  • 見開きでデザインしたい(掌篇付き)ページが4か所

  • 順番は変えずに右ページに置きたい歌が数本

これらの調整でしばらく悩みました。

あとは、比較的長めの掌篇とあとがきの文量が、見開き1ページに収まるか怪しくて……! なるべく分量を削りつつ、最終的には実際にデータを作ってみるまで分からないところがありました。本文用紙を1枚追加=4ページ増となるので、そうなれば全体の構成を見直すことになってしまう。それは避けたい……。フォントサイズをどこまで小さくできるか(印刷的にも、読みやすさ的にも)が勝負でしたが、結果どちらも1ページに収められたのでよかったです。あとがき、ギッチギチでしたが(笑)

 


④ 見積依頼

前々から「あそびカタログ」(見本帳)をなめるように見ていたこともあり、製本プランと使用する紙は決まっていたので、指標の一つとして見積りは早々に依頼しました。

問い合わせフォームから申請が必要ですが、金額についてはWeb上で把握できる情報が少ないので、検討の際はためらわず依頼してよいと思います。

ちなみに見積りと注文は完全に別個の扱いのようで、見積りを依頼したあとに注文をせっつかれるようなことは一切なかったです。

私はこの段階で部数、表紙ウラの色数、本文枚数で迷っていたため、数パターンを依頼しました。高コストなのは本文枚数の追加で、色数の追加はそれなり、部数による差額はびっくりするほど少ないので、やはりページ数は絶対よけいに増やさんぞという決意と、多めに刷ったれ! という勢いづけになりました。

 


⑤ 本のサイズ、紙面の基本レイアウト決め

本のサイズ

レトロ印刷の製本プランは、S/M/Lサイズそれぞれの指定範囲で自由に断裁サイズが指定できるもの。

私が選んだのはMサイズで、長辺綴じの場合、最大は190×138mm。

ということで、まずは本のサイズを決めるところから模索スタート。書店で現代歌人の歌集をたくさん見たけど、ま~びっくりするくらい定型がない! 自由で面白い! 本のサイズのみならず、フォントの大きさ、1ページに載せる短歌の数、テキストを上揃えにするか中央揃えにするかetc…。いろいろ手に取って参考にしながら、しっくりくるサイズ感をつめていきました。

本文(短歌)のフォントサイズはすこし大きめがよくて、なおかつ一首をなるべく一行に収めたかったので、本のサイズは文庫よりも背丈がほしい。でも細長すぎると手に余る感じがするし、左右の余白が多すぎても……。など実際の歌集を色々見ながらサイズを検討していたところ、気づいたら原作の単行本サイズに近づいており、それならイメージしやすい単行本サイズにしよう、と寄せた形です。親しみやすくちょうどいいサイズで正解だったと思っています。

 

紙面の基本レイアウト

こんな感じになりました。

中綴じでページ数も多くないので、ノドはあまり気にしなくて大丈夫と判断。

フチ取りにパターン柄を入れるのを基本にして、一部のページでフレームやイラスト素材を挟むことに。1ページずつデザインに悩んでいたら完全にキャパオーバーになるので、簡単かつ変化が出せる手段にしました。

 


⑥ フォント選び

 *表紙タイトル:夜永オールド明朝 Black

 *本文 短歌:しっぽり明朝B1(11pt)

 *本文 その他:夜永オールド明朝 Regula(8pt)

 *ノンブル:源暎ノンブル(7pt)

上記フォントはすべてフリーフォントです。ありがたや!

当然ですが、ライセンスやクレジット表記の必要性などは要確認し、個人頒布する同人誌に使用可能なものだけを使っています。裏表紙と、あとがきの背景に使用したフォントはメモを残していなかったので省略していますが、もしそこも気になる方がいましたらお気軽にご質問下さい。

フリーフォントの場合特に、使用している文字に対応しているかは重要チェックポイントでした。

今回は「軀」という漢字を使用しており、その一字が未対応のため使用を諦めたフォントがあります。

やっぱり紙にすると印象が変わるので、候補のフォントで本文(短歌)を一通り紙に出力して比較しました。縦書きにした際のバランスも要チェック。


⑦ 素材集め

ちょっとはずかしいけど赤裸々に載せてしまおう。使用した素材の出典は以下です。素材集、数冊買うとそれなりの出費になりますが、今回これについては己の行いに目をつむっています。も、もともと持ってたやつもあるので……。

  • フレームデザイン(https://frames-design.com/)

  • Bg-patterns(https://bg-patterns.com/)

  • 『ボタニカル素材集 Flowers & Plants クラシカルで美しい、手描きの花と植物』翔泳社

  • 『うるおい水彩素材集 Clear & Natural』SBクリエイティブ

  • 『アール・ヌーヴォー&アール・デコ ロマンティック装飾素材集』技術評論社

  • 『西洋の装飾素材DVD-ROM』マール社

フォントと同じく、ライセンスは要確認しています。さらに出典表記の不要なもので統一。web上でDLできるフリー素材からディスク付き書籍までひたすら見漁り、イメージに合うものを集めていきました。上の2つは有名なフリー素材サイト様ですね。TopeconHeroesプロデュースサイト様には、公私共に大変お世話になっております。足向けて寝られない。

上に挙げたものには学生時代に購入していた素材集もあるのですが、以前引越しの折に「データディスクだけ残して本は捨てる」という愚行に及んでおり、それがド級の愚行だったと思い知りました。データ一覧が紙面で見られないの、すごく不便だった……。しかし、気に入った素材集は買っておいて損はないと改めて認識しました。こういう趣味だと何かと活用できて、一生ものです。それを思えばお値段も安いもの。

余談ですが、この漫画の装丁デザイナーさんはあの素材集を重宝してるな~とか、この頒布本に使われている素材はあのサイトの!とか、気づく機会が増えました。こうやって使うのか、と勉強になって楽しい。

作業的には、③~⑦はわりと同時進行でやっていたと思います。

 


⑧ 台割表の作成

データ作成前にあとは何ができるかと考えて、あったら便利だろうと作ったのがこれ。③で作った即席本にページ数を書き込んで、それを確認しながらExcelで作成しました。

最初は進捗管理と混乱防止の目的で自分用に作成したものですが、入稿時のインク指定&重ね順指定にそのまま使えたので、作って大正解でした。

入稿時の申請フォームにインクや重ね順を指示するテキスト入力欄があるんですが、なにせ表紙+本文12枚=52版です。多い。ここで指示を間違えたらおしまいなので、説明を「添付の台割表をご参照下さい」で済ませられるのは、精神衛生上もかなりいいです。使いやすい方を選んでもらえるように、入稿時はPDFとExcelの2種類を添付。

自分用には、進捗のチェック欄などを追加してA3用紙に出力したものを用意して、③で作成した即席本と共にデータ作成時のお供にしました。

ここまでがデータ作成に取り掛かるまでの下準備。

 


⑨ データ作成

平日に仕事をしながら作業する余裕がないのと、ズルズル引き延ばすとキリがないので、週末の2連休+翌週の3連休、計5日間でデータ作成をやりきると決めました。当初は5日目に入稿を済ませたかったのですが間に合わず、校正~入稿はその翌日の夜に。1日あけてデータを見直したことで気づけたミスもあったと思うので、結果的には良かった。

CMYKで作成したい、ベクター素材を加工したい、という点から使用ソフトは「Illustrator」です。これは初心者ながら既にイラレを使用できる環境が手元にあったこと、身近に操作の教えを乞える相手がいたことをふまえての選択でした。ソフト導入から始めるとかなり高コストなうえ、ゼロから操作を学ぶのは大変なツール。

手持ちのフリーソフト+Office製品でどうにかしようとも考えたけれど、作りたいレイアウトやデータの正確性を考えると、やはりイラレが適任で。幸い私のやりたいことは、イラレにおいては比較的簡単な操作だったと思う。それでも不慣れだったので、作業日のうち最初の2日間はほとんど操作の確認が中心でした。そこで把握した「できること」を平日のうちに整理して次の週末に備え、来たる3連休で一気に仕上げたかんじ。

  

「あそびカタログ」について

レトロ印刷さんが販売している見本帳。フォントやルビのサイズ、インクの種類、カラーチャート、あらゆるものの確認に役立ちました。これのおかげでルビをここまで小さくしても潰れない、とかも判断できたし、カラーチャートのおかげで濃度の指定も実物を見ながら選択できた。

あとはWebサイト上で紙ごとのカラーチャートが見られて、本文に使用したわら半紙のチャートはスクショしていつでも見られるように手元に置いていました。

 

学んだこと

「テンプレートは早々にDLして中身を確認したほうが有益である」

データの作成にあたって、レトロ印刷さんのwebサイトやブログ記事などをつぶさに確認し、「あそびカタログ」の内容も読み漁って、サイト内に散らばっていた必要情報の記載ページをかき集めてから臨んだのですが。いざ「今日からデータ作るぞ!」の段階でテンプレートをDLし、zipファイルを解凍したところ、一生懸命サイト内を彷徨って集めた情報が、ぜーんぶリンク集として置いてありました。なるほどね~!

web上のどこにも詳しい記載がない…と首をひねっていた情報も、テンプレート内にしっかり明記されていた。先に中身を確認すべし。

インク色だけでなく、紙色を再現したカラーデータも入っていてありがたかったです。

 

イラレでやったこと

  1. 基本レイアウトのテンプレート作成(公式のテンプレートを加工)

  2. それを元に1面ずつデータ作成(2色合わせた完成イメージでつくる)

  3. 2.で作成したデータを複製し、入稿用データに加工(色別に版分け、グレースケール化、濃度調整)

例:「本文テンプレート.ai

   →「本文1オモテ.ai

   →「honbun01_omote_aka.ai」「honbun01_omote_midori.ai

見開きでデザインするページは完成イメージで作成した後、左右のページを切り分けて面付けを行いました。

反省点として、画像データのモノクロ化と濃度調整は事前にやっておくべきだった。

カラー画像をモノクロ化する場合、そのままだと色の濃淡が分かりづらくなるため、コントラストを強くするなど色調整が必要になる場合があるのですが、イラレ上で色調整がうまくできず(方法はあるのかもしれない)、他のソフトで色調する余裕もなかったので、妥協してそのまま使用することに。入稿後、印刷所から「濃淡がデータ上より相当薄くなる箇所がある」と指摘を受けましたが、なんか色が出れば大丈夫なので~!と強行しました。

 

色決めの取捨選択

本文は2色刷りと決めていて(かわいいので!)

本文12枚=それぞれのオモテ/ウラで計24面、24組の色の組み合わせができるので、最初のうちはいろんな配色を実践するつもりで妄想していました。使いたいインクの組み合わせがたくさんあって!

しかし、「面付けが同じページ」と「見開きで対になるページ」を加味した配色、とんでもなく難しかったのです。

例えば本文12枚の場合、「本文3オモテ面」は左5ページ/右44ページの面付けになります。これでひとつの「面」なので、5ページ/44ページは強制的に同色になるわけです。さらに製本すれば、見開きでそれぞれと対になるページは別の面。欲望のままたくさん色を使ったら、ぐちゃぐちゃのカラフル本になってしまう……。というわけで、一旦いろんな色を使うのはあきらめ、全ページを緑/ボルドーの2色に固定することにしました。

1章ページはテキストを緑、装飾をボルドーに。

2章ページはテキストをボルドー、装飾を緑に。

同じ2色でどちらにも対応できるので、これで面付けや対ページへの配慮が要らなくなります。

そして、2章よりも1章のほうがページ数が多いため、左右どちらも1章ページになる面があり、そういうところだけ装飾カラーを変更しました。テキストの緑は固定なので、これで統一感を保ったまま色遊びを挟むことに成功。あとは例外でやりたいことがあったので、その後考えて2色ともインクを変えたところが本文中に2面あります。

余談ですが、基本の色を緑/ボルドーにしたのは、たぶん「2色の本」といえば『はてしない物語』だったからです。憧憬。

 

混色について

混色。例えば青と黄の2色刷りで、部分的に青30%に黄40%を重ねて緑色に見せる、みたいなやつです。そういうのは今回一切やりませんでした!そんな高度なことに挑戦する余裕はなかった!

シンプルに色を重ねてみた箇所はあるのですが、効果的な使い方はできなかったです。でもちゃんとかわいく仕上がりました。うれしい。

 

ページデザインについて

使えそうな・使いたい素材を手元にピックアップして、ある程度は使用イメージを考えておき、あとはデータをつくりながら場当たり的にやっていきました。

もっと余裕と手持ちソフトの習熟度があれば事前にデザインを全て固めて、⑦で触れたように事前に画像の色調整なども済ませておけたな~と今になって思う。これは今回はっきり力及ばずだった点です。

 

ノンブルについて

本文に振るノンブル(ページ番号)は、あると印刷スタッフさんがとても助かる、との表記がありました。

デザイン上、ノンブルを入れないページがある場合は、「データの印刷範囲外」につけるのがよいとのこと。

これを「隠しノンブル」といいます。

私はなるほど印刷範囲外ね〜と思ってアートボード(イラレのキャンバス)外の領域に配置したのですが、どうやらちょっと違ってた。仕上がり位置(断裁ライン)の外、断ち落とし(塗り足し)部分にノンブルを入れておくのが良いようです。そうすれば印刷原稿上では番号が確認でき、仕上げの断裁時にその部分は切り捨てられる。

あとから知って、めちゃくちゃ場外に付けちゃった……と笑っちゃいました。不備として指摘を受けた訳ではないので、データチェック時にカバーして頂いたのだと思います。自分、次はちゃんとやれます!

 


⑩ 一晩寝かせて校正、データ修正

作成した全イラレデータをPDFに書き出しておいて、タブレット端末で校正しました。本当は紙面で見たかったけど、容量が大きいのでコンビニ複合機でのデータ読込みに1ページ数分かかって、断念。

  • ファイル名(本文枚数、ウラ/オモテ、インク名入り)に間違いはないか

  • ノンブルは正しいか

の2点をチェックしつつ、全体的に目を通したのですが。

こちら修正メモをご覧ください。

デザイン上の変更もありますが、けっこうミスありました。こわ~!

やっぱり多かったのは版分け時のミス。

モノクロ素材はモノクロのまま使用したので、版分け時に色を間違えたり。

ボルドー画像の上に白フチ付きで緑文字を被せる場合などに、文字とは版の違う画像にも文字の白ヌキが必要なのを忘れたり。

そして冷や汗が出たのは奥付の本タイトルを間違えていたこと。必要なテキストは全てコピペできるようにテキストエディタで用意していたんですが、その時点で間違えてた。そんなことある?! 気づいてよかった~~!!!

 


⑪ 入稿

「全52版のデータ」「台割表 Excel版」「台割表 PDF版」

上記をひとつのフォルダにまとめてzip化したものをwebフォームから入稿。

ポイントとしては

  • 保存名は基本的に空白と日本語を使用しない

  • 原稿データ保存名には「_」使用OK

  • ipフォルダのタイトルは文字化け防止で半角英数字のみ(アンダーバーも不可) ※入稿フォームに記載あり

入稿フォームに製本プランや仕上がりサイズ、紙指定など細かく入力するので、気持ちに余裕のあるうちにフォームを見て入力内容を確認しておくと安心。そして、⑧にも書いたけど台割表は本当にあった方がいい! 記入が楽になるし正確さも増すので!

 

夜中に入稿して、その翌日の日中には内容確認の連絡(電話とメール)をもらいました。見積り依頼や問い合わせの時から一貫して、連絡がとにかく早くて丁寧で頼もしかったです。

 

データチェックで指摘があったのは3箇所。

  1. ページにフチ(枠)があるが、印刷の特性上、多少幅が不均一な仕上りになるが問題ないか

  2. QRコードは印刷の特性上、掠れて読み込みに失敗する場合があるので不備があっても保証の対象外となるが、それを了承できるか

  3. 一部の画像について濃淡がデータ上より相当薄くなる箇所があり、きれいに印刷するには画像の修正が必要。

1.と2.については元々注意書きを確認していたので、了承の上でお願いする旨を伝えました。

QRコードについては、同プランで印刷した例が手元にあり、サイズ的にも失敗しないだろうという自己判断です。ただ、QRコードを載せる際は万一の対策としてアクセス先のURLをセットで記載するのが良い方法のようです。次はそうする。

3.の画像濃淡についても、⑧で先述のとおり覚悟の上だったので、そのまま進めて下さい!とお願いしました。

データに大きな不備がなくて超安堵。その後、すぐにメールで受付完了と決済の連絡があり、めでたく脱稿!となりました。

 

ちなみに本の完成後、校正の見落としに気づいたのが

  • あとがきの「を」抜け1箇所

  • フォント白フチの幅設定ミス1箇所

でした……もちろん恥ずかしいのですが、まあ奥付のタイトル誤字に比べたら細事細事。

 

と、このような奮闘のもと完成した本でした。これは舞い上がって最初に撮った写真。いや散らかりすぎ、と冷静になってボツにしたもの。

⑫~⑭については、また改めて書き足そうと思います。

ひとまずこんなところで。

@suimyaku
オタクの徒然草。 現住ジャンル:海賊