しあわせ、または不幸について
ひとの抱く感情は、だいたい同じです
あの人より不幸だ、あれよりは幸福だ
そんなの比べられません
正確な比較がしたいのであれば、環境は除くべきでしょう
だってあなたを取り巻く全ては、あなたではないから
内在する感情について比べるなら、内側のことだけを並べたいのです
先に環境を並べてみましょうか
⑦さんは、あなたの想像しうる限り恵まれた環境です
たとえば、大都会、文化的な両親、病知らずの恵体
⑫さんは、あなたの想像しうる限り荒れた環境です
たとえば、貧しい家、暴力と怒号、先天性疾患
環境の差は明確です
理想を語ろうとも「我ら同じヒト、努力次第で」とは言ってくれるな
しかし幸とは不幸とは環境なのか?
いいや、あなただ
幸は不幸はあなたの中にある
あなたという中心の内側を飛び回る因子が起こした感情は、たしかに環境が左右するものだろうか?
「恵まれた環境、不幸を嘆くな」などといふ者、はんたいに「恵まれぬ者は幸福に喘げ」と宣い給え
わたしは思うのです
感情はあなたの周りに浮かび、絶えず陰陽を反転させるものであると
そのおおきさに、人によって特段の差はないと
原子核のまとう電子の、か弱くもしたたかであることと同じに
これまでさぞや長い時間を生き、多くを見聞きしたことでしょう
おれは問いたい
あなた、幸福かい、或いは不幸かい?
どちらも正確ではないんだけども
誇ってよいのだ、あなたは感情を
比べるならば、やればいいが、大した意味はないだろう