「共感覚って知っとる?」
「なんかあるなぁ、音聴いたら景色が見えるとかのやつ?」
「せやねん 俺も共感覚あんねん」
「え〜すごいやん どんなん?」
「聴覚と味覚がくっついてんねん」
「お〜面白そう 音楽聴いたら味するんや?」
「逆やねん 味したら音楽鳴んねん」
「お前食事の時だけSE付くんや」
「サムゲタン食べたらな、バイオリンの音すんねん」
「サムゲタンで?全然イメージと違うな」
「水炊きはコントラバスの音やし」
「具材とかじゃなく丸ごとコントラバスになるんや」
「火鍋はホルン」
「鍋多いな」
「トマト鍋はチェロ」
「鍋やな」
「ちゃんこはティンパニー」
「水炊きと何が違うねん」
「チゲ鍋はトランペット」
「火鍋と何が違うねん」
「もつ鍋はチェロの2人目」
「2人目?」
「せやからおばあちゃん家行ったらいっつもオーケストラ状態やったわ〜」
「え、一晩の献立なん?」
「え?」
「今までの、一晩の献立の話やったん?」
「うん」
「祖母の料理の腕エゲツ」
「普通ちゃう?」
「孫によく食べさせてくる祖母のイメージすら軽く逸脱してんねん」
「皆こんなもんやろ」
「あと祖母の家どんだけコンロあんねん」
「普通やろ」
「店やってなかったら説明つかんやろ」
「雑炊は指揮者の音やった」
「どの鍋にシメ入れてん あと指揮者の音ってなんやねん」