ずっと商店街のコロッケが気になっていた。よく本とか漫画とかで見る、あの個人経営の肉屋のコロッケ。すごくおいしそう。商店街のコロッケは、コロッケだけではなく惣菜の中でも特別な位置にいた。シード枠みたいな。近所に商店街も肉屋もなかったので、どんどん理想化されていっていたのかもしれない。ぐりとぐらに出てくるカステラと同じ。見せられるだけ見せられて、簡単に食べられないものって惹かれる。ふと思ったんだけど、あれって本当にカステラなんだろうか。
今日、商店街を散歩していたとき、店先にコロッケを見つけた。銀色のトレイに3つ並んだコロッケ(牛)100円。商店街のものって税込で、何十円単位のものが多く、きりがとてもいいので良い。小銭を渡して、紙でできてるっぽい黄色の袋を受け取る。コートを着るくらいがちょうどよく、さらに風が強い日で、そんな中、店先にいたはずなのに、ほんのり温かかった。嬉しくなった。
家に持ち帰って、ゆっくり食べようか、と思っていたが、袋に油が染み出してきていたので、道の端に寄って食べた。かなり時間が経っていたのに、さくさく!だった。味もおいしい。また食べたい。