2/29 依頼されたイラストのために練習する【日記・イラスト】

sumiko
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 吹奏楽サークルの友達から彼女が出す歌集の表紙を作って欲しいと頼まれた。僕に白羽の矢が立ったのは人となりを知っていて短歌を詠んでイラストも描く、という条件を満たすただ一人の人間だったからだそうだ。

 僕は絵を描くのが好きで、自分が描いた絵も好きだ。しかしながらこれは自分が満足すればおしまいの趣味の話で、他人に頼まれて、しかも報酬ありで描くとなると話は別である。自分の描いた絵が好きと言ってもそれは愛着等があってのことで客観的に見ると普通に素人の絵だ。そもそも絵を描くことは数ある趣味のうちの一つでやる気にはむらがあり、頼まれた時点では何ヶ月もまともに描いていなかった。

 だから最初は断った。しかしそこそこの長文で再び頼まれた。また悩む。本の表紙を描いてみたい気持ちはある。僕も彼女の詠む短歌はかなり好きで、それをまとめた第一歌集の表紙を担当できたら誇らしいことだろう。でも良い中身になることが予想されるのに、表紙を飾るのが素人くさいイラストではなあ……。

 と、数日返事を保留というか既読無視していると、食い下がって申し訳なかったという謝罪とともに送信取り消しされた。これによりもともとのやりたい気持ちにものすごい罪悪感が合わさる。結果えいやと依頼を引き受けた。いざやるからにはなるべく良いものを作らなければ。ダラダラ楽しく描いていただけのイラストを、この機会にひとつ上のステージへと引き上げようではないか。

 ――これが4ヶ月ほど前、去年の10月の出来事である。このあいだ何をしていたかというと特に何もしなかった。依頼者が自分の短歌に満足いかなくなったということもあり、納期は1ヶ月後を目安にという話だったのが、年末までには、2月のサークル引退までには、とどんどん後ろにズレていき、ついにはずらしたラインを二人とも何食わぬ顔で通過してしまった。

 しかし約束がなくなったわけではない。もはや元サークルの同期となった依頼者いわく「私のやる気が出てから1ヶ月後が納期」だそうだ。彼女がやる気を出すまでに良いイラストを描けるようにならなければならない。

 それでつい最近お絵かきの再開とともに始めたのがジェスチャードローイングである。ネットサーフィンをしていたらこの練習法を勧めている記事に出会いやってみることにした。全身を描くのが苦手意識があるので改善できたら嬉しい。

 この練習の効果等は始めたばかりでまだわからないが、すでに分かった強みが一つある。手軽さだ。一体あたり1-5分くらいしかかけないのでやり始めるまでのハードルが低い。まずはなるべく毎日描く習慣をつけるところからだと考えている僕にとってこれは非常に都合がいい。ちょうどいYouTubeチャンネルもあるので、当面は毎日最低1動画ぶんやろうと思う。

 基礎練習はやることが決まっているので楽だがそれだけでは実戦で使えるようにならない。そこでmomの『あかるいみらい』という曲の歌詞をもとにイラストを描くことにする。が、ざっくり構図と色を確認したところでここからどうしたものかと途方に暮れてしまった。塗りも細かい描き込みも苦手なのだ。ひと唸りして、完成まで持っていくことを放棄した。

 久しぶりに絵を描いていて思ったのだが、絵を描く工程で得意なところがない。ものを描くのも顔を描くのも苦手だ。かといって不得意なことにじっくり向き合う根気もない。困った。

 気分転換にpinterestで見つけたおしゃれな人の絵を描く。描いてから気づいたが、こういう写真をお手本にして描いたイラストはネットに上げるにはあまりよくない。実際のところ参考元を明記していて営利目的での利用をしていなければ問題になることはまずないと思うが、これからはお手本画像を探す場所も気をつけようと思う。

 もう頑張って描くのは疲れたので最後に落書きをした。正直なところこれくらいの絵でも自分としては十分かわいいと感じる。これでしっかり満足してしまうところも上達が遅い理由の一つだと思うのだが、自分が満足できれば万々歳だろうとも思う。