ハイパーパピヨン

sushiyama
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公開:2024/5/23

小学校3年生の頃、ハイパーヨーヨーが大流行しました。遊ぶときはみんな、ヨーヨーを持ち歩いていた。中にはアタッシュケースみたいなものにたくさんのヨーヨーを入れて持ち運んでいる猛者もいた。カッコよかった。

当時の自分は、コロコロコミックの連載漫画「超速スピナー」で中村名人がヨーヨーを使って不良を倒すシーンに憧れて、喧嘩が強くなると思ってめちゃくちゃほしかった。公式でそういう使い方を絶対推奨していないと思うが、そんなシーンがあったはずだ。

ある日、友達と一緒に近所のジャスコに行きました。目指すは、おもちゃ屋のハイパーヨーヨー売り場。1,000円をけろけろけろっぴーの財布に入れて、どれを買うか真剣に選びました。しかし、お小遣いが少ない僕は、憧れの「ハイパーブレイン」には手が届かず、代わりに「ハイパーパピヨン」を買いました。ハイパーパピヨンはチョウチョの絵が書いてあり、今見ると絶妙にギャルっぽいデザインで、多分子どもたちにも人気はなかった。しかしデザインはギャルでもヨーヨーを手にした俺は不良より強くなったと思い、興奮しながらおもちゃ屋を出て友達と急いで自転車で児童館へ。買ったばかりのヨーヨーで数時間遊んだ。

まだ技もわからず見様見真似で遊んでると、俺のハイパーパピヨンはすぐに中のストリングス(糸のことをこう呼んでいた、カッコいい)が絡まってしまい、ストリングスが短くなってしまった。ハイパーパピヨンの特徴として、一度中で絡まるとストリングスを交換することができません。ハイパーブレインだったら中を開けることができたのになんてこった。そのため、僕は初日にして絡まったままのヨーヨーで遊び続けることになった。その後は友達と遊びに行く度に絡まったハイパーパピヨンを持っていった。絡まっていたので基本中の基本、ロングスリーパーもできなかった。

数カ月後、母親が突然ハイパーヨーヨーを買ってきた。何と、それは自分がずっと欲しかった「ハイパーブレイン」、大歓喜し、すぐにそのヨーヨーを手に取りました。しかし、母親はこう言いました。「それ、私のだから」。冗談だろと思ったが冗談じゃなかった。その後、自分がハイパーブレインを触ることはなかった。なぜか母親がハイパーヨーヨーで遊ぶところも全く見たことはなかった。

こうして僕のハイパーヨーヨーブームは儚くも終わりを迎えることになった。中村名人のYou Tubeを見ながらそんなことを思い出したのでした。