師匠

sushiyama
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小学4年生の頃、クラスメイトに「弟子にしてやるよ」と言われたことがある。クラスメイトなので、もちろん同級生だ。当時の自分はあまり弟子の意味を理解していなかったのと、そいつはクラスで人気者だったということもあり、なんか嬉しいことが起こっていると勘違いした。ニュアンス的には親友よりちょっと下くらいかなと思い、あっさり門下に入ることになった。

師弟関係があるとはいえ、何の師としてるかもわからなかったし、向こうも言ってみたものの特に何かしてほしいわけでもなさそうだった。それでもなんとなく一緒に帰ることになり、隣で歩きながら、弟子としてのやるべきことを探し出し、師匠が通ってるぜ!という雰囲気を出そうと思い、途中から手笛を吹いて盛り上げて帰った。周りからみたら意味がわからなかったとは思うが、自分自身も意味なんかわからない。

師匠を見送ったあと、帰宅して、母親に今日「◯◯くんの弟子になったよ!」と報告したら、「なにそれ、同級生でしょ?やめなさいよ、みっともない」と言われて我に返った。あーこれはみっともないことだったのか、弟子になるだけでもみっともないのに、あろうことか隣で手笛で盛り上げてみっともなさを重ねてしまったとショックをうけた。

そんなわけで次の日には弟子をやめると言って、晴れて自由な身に戻り現在に至る。余談だが、数年前にその元師匠を検索してたら同じ業界、同じ駅で働いていることを発見し、Xのリストに登録して、たまに動向をチェックしている。「弟子にしてやるよ」とDMを送ったら、どんな顔をするだろうか。