ドーパミン

sushiyama
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高校1年の5月ごろ、体育の授業でサッカーをやってるときに、ジャンプして着地したところで激痛が走り、倒れて少し気を失った。

意識を取り戻したあと、友人の肩を借りて保健室へ。痛さはあったが「多分、肉離れだと思います」といって、授業に戻った。3時間くらいして、授業中に冷や汗をかき始めて結構痛いなと思い、もう一度保健室へ、病院に行くことになり、車で先生に送ってもらった。レントゲンを取ると、足の2本ある骨のうちの細い方が2箇所折れていて、雷みたいになっていてカッコよかった。

これが正しい処置なのかいまだに疑問なのだが、2人の男性に強い力で捕まれ、人力で曲がった骨を真っ直ぐにしていた。骨折より痛かった。

帰りに先生に「俺の教師人生で骨折してこんな痛そうじゃないのお前だけだぞ、ドーパミンっていう脳内麻薬の量がすごいんだろうな」と言われた。脳内麻薬って言葉がカッコよかった。あだ名にしておけばよかった。

実家から高校までは約1時間、実家の最寄りの駅まではしばらく親が車で送ってくれた。高校デビューするために通勤ラッシュと逆方面の電車でよかったが、乗り換えた後は10分くらいバッチリ通勤ラッシュ。優先席の前で松葉杖をついて立っていても、席を譲られることはほとんどなかったので、いつかこの譲らなかった全員骨折しろって思っていた。

学校に到着した後は、1年のクラスは4階はので、限られた者しか使えないエレベーターの鍵をもらっていたが、松葉杖を駆使しながら階段を使っていた。目立つためだ。その思惑通り、高1初っ端から足を骨折してる奴がいると目立っていた。

時を同じくして、高1女子、つまり同級生の女子の間である噂が流れた。「喉仏が大きい男はアレも大きいらしい」という噂だ。アレとはもちろん、アレのことである。そう、ここで奇跡の合流を果たす。

高1の初っ端に骨折する→あの骨折してる人結構喉仏大きいよね→喉仏大きいってことはアレも大きいってこと?となり、高校に入学して早々、アレが大きいかもしれない奴になってしまったのだ。階段を華麗に登っていく僕の松葉杖を、おちんちんと勘違いした人も多かっただろう。