無題

日々
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公開:2024/7/15

「ノンバイナリースタイルブック」「シミズくんとヤマウチくん」読んだ。

ノンバイナリースタイルブックは、装うことで己が己であることを保つたたかいの記録であるように感じられた。わたしにとってのそのたたかいは文字の上だけで行われているものだったのだ、ということを他者のたたかいの様子を見て初めて気がついた。わたしが装いについて考えるとき、思考にはもやがかかってしまってとうてい武器にも盾にもならない。わたしが書くことを握りしめてきたように、装うことを握りしめて生きて来られたのだと思うと、羨ましいということばはあまりに軽々しい。最近は自分の手の中にないもののことばかり考えている。

シミズくんとヤマウチくん、一緒に生活する他者のいない自分がすごく寂しくなるくらい、おふたりが手を取り合って生活を、人生を歩いていることが描写されていた。清水えす子さんのエッセイは自身の書く文章への飛び抜けた美意識が見て取れて、ものを書くときに、自分の手のひらに馴染む文章になるように感覚を研ぎ澄ませている人のそれだと思った。とても好きだった。でもさみしい。誰かと一緒に人生をやりたい。恋愛感情抜きでしか自分には叶わないだろうが。

本当は朝から「関心領域」を見るつもりだったのだけれど、全然起きられなかったのでなかったことになった。自分の観測範囲内で数人観ている人がいて、見ようかなと思い始めてからどうも一月半経っているらしい。さすがにそろそろ上映も終わろうというくらいなので、おそらくこのまま映画館では見られないのではないか。

ぼんやり横になっていたら意識が途切れていた。眠いという自覚もなかった。最近の無力感をどうすればいいのだろう。生きているだけで部屋は汚れ食事はなくなりゴミが出る。本当になんにもしなくてもいい日は来ない。自分の掲げる生活のハードルが高すぎるだけだということはもうよくわかっている。わかっているけれども。

@suzu_sn
息継ぎをする