・神神化身のポスト(ツイート)を遡って読んでくれる方がいらっしゃるので、この「しずかなインターネット」に転載して元のポストは消去していこうと思う。これからハマってくれる人がそういうことがあったんだなあと思ってくれると嬉しい。いつか捲土重来が叶った際の為にも残っていたらいいんじゃないかと思う。ということで纏め始めた。
・今回のようにツイキャスで神神化身のことを中心に話す機会はあんまりないだろうから(アーカイブするのが大変なので)、ツイキャスの内容をここにも転載しておこうと思う。(聞き直していないので覚えているところだけ)
・水鵠衆の書いているだけで主人公になる感じが凄かったことを思い出す。何を書いてもストレートに物語が成立するイメージ。ある意味で水鵠衆は神神化身じゃなくてもそれ単体で小説として書けた気がする。カミからの縁を断とうとしている衆に近い感じがして、それはそれで合っている。水鵠衆のアイドルユニット感、アイドルコンテンツに長年ハマってきた自分がしっくりくるアイドル感だ。バランスがめちゃくちゃいいと思う。
皋と昏見も単体で成立するタイプのキャラクターだけど、この二人だけの話となると「線上の十三階段」に尽きる。皋所縁を生み出したことで皋的探偵が書けなくなったところがある。彼のようなキャラを二人は書けない。昏見がいるので怪盗自体書けなくなったところもある。理想の怪盗を生み出してしまったので、次怪盗作るならループ怪盗くらいズラさないといけないな……。
反対に神神化身でしか生まれないのが萬燈夜帳と栄柴巡。萬燈夜帳は書くのが難しい。巡に至っては沢山の要素が積み重なって出来上がったコンソメのような存在なので、再現が出来ない。もう生み出せないキャラクターかもしれないと思うと怖くなる。一回群像劇を挟めば書けるようになるんだろうか?
・群像劇の書き方。小説技法関連のことを書き残したくない人間なので悩んだけれど、ここなら別にいいかと思って残しておく。色々と群像劇を学んで出した結論は、多人数の人間を関わらせるためにはAの問題を解決出来るのはC、Cの問題を解決出来るのはEみたいに飛ばしで組み合わせていくこと。そうすれば絶対に物語が生まれるようになっている。色々やりようはあるんだけれど、これが一番発展する。
舞奏曲衆・弍はそれがものすごく顕著に出ていて遠流の問題は昏見が解決して、萬燈の問題は比鷺に解決させることで衆同士の関係をイーブンにしつつ上手いこと二衆を絡める意味を作れたなと思っていた。遠流は一人でいっぱいいっぱいになりながら頑張っていたから「君は正しい、間違っていたら私が正す」と言ってくれる昏見が効く。こうして見ると本当に昏見は探偵気質だな。これが仮に本当にいっぱいいっぱいな状態の遠流を皋が助けるとなったら「遠流にも周りの人間にも責任が及ばない形でアイドル活動を終わらせる策を考える」になる。それは望むべき結論ではないからやっぱりここは昏見がいい。
でも昏見が比鷺を救おうと思って「君は正しいですよ! あとお兄ちゃんのこととか家のこととか気にしない方がいいです! 私がカミとか全部めちゃくちゃにしちゃうから待っててくださいね!」と言っても比鷺には全く刺さらない。群像劇はポケモンの相性表なのだ。
遠流がいっぱいいっぱいになっているのを書いているのがつらかったので、このドラマパートを書いた時にちょっと肩の荷が降りた気がした。そこから遠流を書く時に全然感覚が違って驚いたのを覚えている。
・「連綿の五月雨」の話を振っていただいたのに若干覚えていなかったところがあった。読み直した。今読むと詰め込んでいるなあと思う。三言の視点の物語を書いている時は常時書き方に気をつけなければならないので緊張していたけれど、上手いことやっているなあと思う。神神化身において一番難しいの、最初に出てくる衆のリーダーが六原三言であることなんだよなあと思う。三言は因果の係留点なのに王道主人公の顔をしているから難しい。そもそも群像劇における(便宜上の)主人公の記憶が欠けているのに本人がそれを全く気にしていないという異形の造形が、小説において成立してしまった存在が六原三言。おまけに語れないことが多すぎる。三言の話がたくさん出来る日が来たらいいなあ。ともあれ、叙述トリックの隙間で日々を楽しんでいるところが出ていて良い。
比鷺から受け取るばかりなのは大人としてあれかもなあと思い、少しだけ返してもらう。前項でいうと、お互いに別に刺さる言葉を言っているわけじゃないのに実は相手にとってクリティカルなことを言っていて、勝手に救われる構図というのが好きなのかもしれない。というか、私の関係性とは全部これな気がしてきた。パッと思いつくところだと「詐欺師は天使の顔をして」の冴昼が引いたカード、「恋の証明(Proof of Continuation)」で愛が琴葉に言った解決策とか、言ったりやったりした本人はなんだそんなこと、と思うけれど強い印象を与えるような。
比鷺にとって兄の言葉以外に自分を満たすものはないんだけど、兄と同じくらいすごい人間が「ならない」って言い切ってくれるならちょっと安心する。根拠なんかないはずなのに信じられそうで期待している。けれど、萬燈がここでそう言い切れるのは彼が九条鵺雲と面識があるからだということを比鷺は知らないという入り組んだ構図が危うい。近づいたから恐ろしいもの。ようやく自分で選び取った縁の先にまた兄がいる。
というのを天丼方式でラストもやっている。三言と遠流と比鷺の櫛魂衆がいいという言葉も、忘れないという言葉も、成長したからこそまずいことが近づいている。
・九条兄弟の話、あんまり本編に出ていないことに気づかなかった。兄弟って兄弟であるが故にパーソナルな部分に食い込んでいるから、当たり前のように書き手だけが把握している情報が多いというか。でも開示されていようが開示されていなかろうが、表に出る部分は全然変わらなそうなところも「血縁」という感じ。結局それが人物造形に食い込んでいるから。
比鷺は優しいから疲弊するんだよなとも思う。この辺りは遠流もそうかもしれない。遠流はまだ誰かに甘えるという選択肢を(以前は)取れたけど、比鷺は疲弊しっぱなしというか。理解しようとしすぎる人間がしんどいのは皋所縁に近いかな。皋所縁がもっと他人を理解しようと思わなかったら、探偵としての寿命は長かったのではないか。鵺雲と比鷺の外見上の差異は黒子だけだから、同じ位置に黒子を描いたら何かわかるかもと思ったものの「顔が同じだな」と鏡の前で思うだけなのだと思う。こんなにも同じなのに、理解し寄り添えることはない。比鷺はお兄ちゃんになるのも怖いけどなれないのも怖いからどこにも成長したくない。
比鷺は家の中はともかく外では結構誉められているのに、それでも全く満たされた様子がないのは、要するに1の欲しいものが手に入らないから100の宝物が目に入らないんだと思う。別作になるけれど「ミニカーだって一生推してろ」の赤羽瑠璃がいつまでも不幸なのはそのせいだ。替えが利かないそれだけがほしいというのはつらい。ここをどうにかするには時間が必要なんだと思う。
兄弟仲良かった頃の一瞬のきらめきとか、子守唄がお互いにとって確かにいつまでも大事だったりとか、本当に好きだった頃のこととか、そういう面も見せたかったところである。見せたいな。
・「鵺雲と巡って会話できるの?」
聞き上手と話し上手なので噛み合いが取れそう。巡は女の子をエスコートしようって気持ちが強いのとサービス精神があるから色々話せる。相手が好みそうな話題で自然と盛り上げられる。鵺雲は興味のある相手が話してるなら結構なんでも楽しく聞ける。舞奏とか家とかの話に寄りそうだから雑談デッキがないだけで、そこらを避けたら楽しく過ごせる。佐久夜と鵺雲だとああいう感じの会話になる。こういった何かの要因がなければ仲が良かっただろう二人のことを書くのが好き。カレイドミステリーの奈緒崎が犯人との方が仲良くなれそうなノリなのと同じ。
・「犬派? 猫派?」の模範解答は「巡の好きな方」である話
主を喜ばせて「そういうの主体性がないよねー!」「それ回答になってないんだけど!」「佐久ちゃんいつのまにそんな器用な回答できるようになっちゃったの? やだやだ」「そんなん言われても俺嬉しくないからね!」を引き出そう。
・「佐久夜がゲームセンターで鵺雲に嘘を吐いた理由は?」
ツイキャス中に受けた質問。プリクラを危ないものと言った件かなと思うのですが、単純にプリクラを「仲睦まじいもの達が楽しむ、やや不埒なもの」だと認識しているので、親が子供に深く説明せず「危ない」で済ませているのと同じです。不埒なものに近づけてはいけない。巡の説明のせいで不埒だと思いすぎているところがあるな。
嘘吐いた後にちょっと胸がすいているのは「鵺雲は自分の忠告を素直に聞くんだな、これも意趣返しだな」「そういった不埒なものの存在を知らないんだな、自分の方が鵺雲よりも世俗のことに詳しいな、鵺雲の世俗はカフェ止まり」ということに嫌な愉悦を覚えているから。知らないこと教えたくなる。あとは、巡と佐久夜のことを何でも知っているように見せかけてゲームセンターのことを知らないところとかも胸がすく。二人の核にある思い出のところまで詳しく知っているわけじゃないのだ。この辺りの佐久夜の心境、急に現れたとても魅力的な異物に対する揺らぎがあって生々しいな。最終的に丸く収まって良かった。
証明写真機というのは特に嘘というわけではなく、巡から聞いた時に「それはつまり証明写真機をおしゃれに言っただけなのではないか」と思ったのでそう言い続けている。佐久夜も不埒な証明写真機に鵺雲を入れることは、ましてや一緒に入ることはまずいと思っている。本当にまずいので入らなくてよかった。不埒な証明写真機に入る時は巡の許可を取ろう。
これで嘘の件がプリクラの件じゃなかったらどうしようと気づきました。
・「萬燈先生のデスゲームの話とは?」
詳細をあんまり覚えていないけれど、コミカライズ担当の足立いまる先生が話していた雑談の一種であることだけ覚えている。すごく笑った覚えがあるんだけど、どういう話だったんだろうか……。デスゲームにめちゃくちゃ強いとか? 足立先生に聞いておきます。人間の可能性を見るためにデスゲームを開催する萬燈先生はめっちゃ嫌だみたいなことを言っていた気がする。
・プライベートでお菓子をほぼ食べないので、千慧のスイーツ探しが大変だったのだが、この間本棚を整理していたら千慧の食べたスイーツにチェックしてあるスイーツの本が出てきて懐かしくなった。その頃、Twitterで流行ったスイーツなども千慧用にストックしていた。そのままいくと千慧がスイーツ最前線を走ることになっていたのではないか。
・他にも何か言っていたような気がする。捲土重来を全然諦めていないから本編で出る情報は何も出てこない、上澄みしか話せていないなみたいな話もしたような気がする。その通りです。