「お前な、これ頭カッスカスなるくらい考えたか?」
新卒で入社した当時によく50代の先輩によく言われた言葉です。正直技術的に未熟な地方の零細企業の中で、その方はしっかりした技術力を持っており、立ち回りも上手くムードメーカーで十数年経った今でもその方を思い出します。
その方がよく口癖にしていたのが冒頭の言葉です。字面だけ見るとめちゃくちゃ怖く感じますが、実際は笑顔で言っていた言葉なのでそこまで怖くはなく、ただそれでも背筋がビッとなる言葉でしょう。
これを言われた当時は「いや、そんなこと言われても動いてるからええやん」と思っていたのですが、その方と飲み会の席で話をした時になんでそんなことを聞くのか尋ねてみたことがありました。
「この会社にも多いんやけど頭もロクに使わんと『インターネットに落ちてるコード使ったら動きました!』って奴がほんまに多い。お前はまだやる気があるから言うとくけど、なんでこのコードが動くのか?を1ステップ1ステップ具体的に説明できんと何も成長に繋がらん。ただ動くものを作ったという結果だけや。」
「そうならんように、『自分は頭カッスカスになるくらい考えてこのコードを書いたのか?』と常に自分に投げかけた方がええ。頭カッスカスになるくらい考えたらワシらのそんなに良くない頭でもちょっとはマシになるで。」
流石に細部は忘れましたが、こんな感じのことを仰っていました。この言葉は今でも頭に刻み込まれていて、ある意味自分の思考のベースになっている言葉でもあります。
正直、今でも極々偶に『動いてるからええやん』と思ってしまう時があります。ただ、そんな時に頭の中でこの方が「頭カッスカスなるくらい考えたか?」と投げかけてくることで楽な方向に流れそうなところをブレーキかけられることがありました。
誰しもがこういった頭にこびりついている他者の大事な言葉というのはあると思います。こういった言葉を投げかけてくださった方を仮想的なコーチ『イマジナリーコーチ』として頭の中に存在させ続けることが大事なんだろうなあと仕事中ですが考えついてしまったので書き残しておきました。