季節はまだ春のはずなのに、気温が夏日が続き、Tシャツとジーンズが制服になる日の近さを感じている。アロハシャツにゆるめのボトムスも良いな。歩いても疲れにくいサンダルがあれば散歩だって楽しい。ただし夜に限る。身軽な夏、なはずなのに、私のコレはまるで甲冑の如し。
小学生の頃はゴボウと言われていた。(ガリガリなのに日焼けで真っ黒だったから)日に当たっても皮一つ剥けず、赤みも出ないくらい強かったのに、今は直射日光に少し当たっただけで顔は腫れ、酷い時は蕁麻疹に襲われる。日傘や帽子がなくては、外を歩くことが出来なくなった。腕はアームカバーで防御、いかに素肌を出さないかに魂込めている。日焼け止めも欠かせない。ビタミンDくらい作らせてください。
プールや海が大好きだった。毎年夏には海に遊びに出かけ、暇さえあれば近所のプールで泳いだ。いや、泳げないけれど、水に浸かるのが好きだったのでなんでも良かった。それなのに、水の中から何かが現れ引き摺り込まれる夢をよく見たり、海に落下したり、鮫に襲われる人間たち、みたいな映像を観たせいか、自分の家のお風呂以外の水場が怖くなってしまった。広い温泉も、スパも、足元が見えない入浴剤もダメ。なんでこんなところで発揮されてしまったのだろう、どうしようもない豊かな想像力よ。
かろうじて、ギリギリ、夏の楽しみをクリア出来るイベントはお祭り。あの提灯や花火のキラキラが好きだ。高校時代いつメンと行った思い出が忘れられない。凄く楽しくて、あの時間が永遠に続くものだと信じていた。普段なかなか着ることのない浴衣を着るのも気持ちが良いし、屋台の食べ物はなんでも美味しかった。ただ、たくさんの人で身動きが取れないことがあまり得意でないからか(誰だってそうか)、向かう時点でかなりハードルが高い。それに都会は地元の何倍も人が多いし。勇気を出せば良いとか、そういうレベルの話でもなく。眩暈がするね。
確かに私は大人になって強くなった(精神も肉体も)はずなのに、子どもの頃当たり前に出来たこと、大丈夫だったことが、厳しくなった。命を脅かすものがあまりにも多い。大きくなって無くしたものは大きすぎる。宿敵、強敵、夏。憧れは野外フェスに広々とした温泉。浴衣でイカ焼きを食べること。
せめてもの抵抗に、可愛いマグカップを。シーサイドマグ。手触りが気持ち良いのです。ざらざらして砂みたい。手元に海を感じながら、それでも諦められない海へ、水へ、青へ、思いを馳せる。少しずつ触れて。いつか太陽を愛せるようになれば良い。