今も昔もこれからも、何処へでも行きたいし何処にも行きたくない。物語のように綴っていきたい反面、口数多く語りたくない。会いたいけど終わってしまうから会いたくない。全部そういうジレンマ。冬が終わってほしくないのに、夏の身軽さが恋しくなる。たくさんの物で溢れているこの部屋で、旅の準備をする憂鬱。欲しかったものをかき集めた場所なのに、バッグに入る量の物だけが必要だとわかってしまうから悲しい。明日の今日は違うところで、今が恋しくて笑っているんだと思う。表と裏がぴったりくっついた、良いとも悪いとも言い切れない感情に肩まで浸かり、身動きが取れなくなることすら刺激になるのだから、呼吸をするのはやめられない。
パッキングが苦手。夜空を越えるための支度。滞りなく過ごせますように。マニキュアを塗ることが好きだなあと思った日。彩られた爪を見ると、ほんの少しだけ自由になれる。