遠くなればなるほど、愛が募るというのはあながち大きく外れていないと思う。
都会(ここ)にも随分と慣れた。便利で離れ難い。賑やかで楽しい。大切なものや、自分を必要としてくれる人も増えた。代わりに何を忘れたんだっけ。
夜行バスから眺める外の世界が好きだった。知っている知らない景色を、歌舞伎町より眩しいネオンを、天井のない車で夜の街を駆け抜けた日を、2時間の旅路を、毎週末の楽しみを、後悔と反省の時間を思い出すから。夜に聴く「ヒトリノ夜」は格別で、私を孤独にしてくれて、優しくしてくれた。そんなことも残っている。暗いところから見つめるきらきら。
忙しない日々の中で少しずつ擦り減って、なくなってしまったものはなんだろう。向こう見ずな情熱だった気もするし、純粋さだった気もする。だけど、あの頃より不純な動機も立派な理由だと思える情熱が確実に存在していて、無垢な時よりずっと素直だと思う。
都会にいない時間が、何がしたいのか、どうありたいのか、何が必要なのか、を鮮明に考えさせてくれて有り難い。
光の差す方向に帰る場所があるうちは、まだまだ頑張れる。私は何も変わってない、変わっていないのよ。