「故人を思い出す時、あの世にいるその人に花が降り注ぐ。」という話を信じているので、もう良いよと言われるまで、何度も何度もその人を思って、向こうの世界にたくさんの花を降らすと決めている。
春には桜、夏は向日葵、秋は紅葉、そして冬は椿。四季折々の花をそばに咲かせては舞わせる。こちらの景色をそちらにも。ずっと忘れない。
悲しい出来事が続くと、ふとした瞬間に涙が零れたり、手が震えたり、頭が真っ白に塗りつぶされて、身動きが取れなくなったりする。
そんな時は、まず、ご飯を食べなくては。
目にかかる前髪を切れば嫌でも視界は良好で、湯船につかれば浄化される。肌を労わって体を休める。瞼が腫れてしまっても良い。
命の重量はわからない。尊さも映し出すことが出来ない。でもこの空洞は、きっと不在に対しての寂しさなんだと思う。
いつかまた。