夏、甲子園が大好きだった。でもだんだん、無邪気に好きとは言えなくなっていった。野球をするにはもう、その場所は暑すぎる。
冬、雪国に暮らす人間にしてはわたしはかなり雪が好きな方だと思う。雪は綺麗。でもいつか、無邪気に好きとは言えなくなるかもしれない。除雪の人手不足、異常気象による積雪量、交通が麻痺して、弱いものから生活が立ち行かなくなる。
気温が低ければ低いほど雪の粒は小さくなり、そのひとつひとつが光を返す。コートの腕に落ちた六角形の結晶をじっと見る。いつかスコップを持てなくなったこの身体が雪に埋もれてしまうまで、雪は綺麗、だから好きと言い続けているだろうか。