福島 高湯温泉へゆく

t20vision
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高湯温泉は東京からのアクセスも良く、自分の駆け込み寺のようなお湯処である。

元々はコロナ禍で家に篭らざるをえなかった2021年ごろ、根詰まってしまって脱出先を探していた際に、一人温泉トラベラーの方のツイートで知ったのだった。

車が運転できないので、新幹線または空港からアクセスのいい温泉地は自分のお守りのような場所になっている。かつ、人が少なく山が見えるという(利便性と相反する)条件が成立する温泉地の一つが、この高湯温泉。

福島まで一時間半、新幹線やまびこで向かい駅から送迎バスまたは路線バスで30分。福島市街が一望できる900mほどの山中にいくつかの旅館がある。その全てが源泉かけ長しで、硫黄泉。バスを降りると硫黄の香りに包まれ、これからの日々を期待させる。

前回は"玉子湯"に宿泊して、茅葺き屋根や渓流を望める複数の露天風呂を味わい、すっかり高湯温泉のトリコになった。

コロナ禍が落ち着き、一人プランがなかなか出なくなってしまったのですが、前日・当日予約だといくつか泊まれるお宿もあるようで、今回は"高湯ハイランドホテル"へ。

高湯温泉の中でも高台に位置し、福島市の夜景が望める部屋で読書して、寒くなったらお湯に浸かり、芯から温まった体でふかふかの布団に寝る…。最高の休息でした。

山を構成する木々の一本一本が赤や橙に色づき、視覚の粒をぼーっと見ているだけで難しく捉えすぎていた頭の締め付けがどんどん解れていくのを感じる…。紅葉が目当ての一つでもあったけれど、ちょうど初雪の日に訪れ、東北の冬の始まりに立ち会うことが出来ました。

街中も少し雪がちらつき、0℃近い気温のなか深呼吸していると、肺のすみずみまで冷たい空気が行き渡るのを実感して、生きてるなー、と思えたのでした。

体に溜まった淀みを深呼吸してすっかり入れ換えていると、背負いすぎていたものがどんどん小さく思えてきて、だいぶスッキリできました。

二日目に訪れた地場のライフスタイルショップに置かれた石油ストーブの燃える匂いが懐かしく、暖をとりつつ香りを楽しむ。

やっぱり東北の民として、冬の寒さや火、湯を体が求めているのかもしれないなぁと思いました。

福島はいいぞ。