蛇が尻尾を振っている時はブチギレている。
いやブチギレているは言い過ぎかもしれない。滅茶苦茶怯えているのかもしれない。真意はわからないが、とりあえずイラつき威嚇していることは確かである。
ガラガラヘビが尻尾を振り、警告音を立てることは有名だが、日本の蛇もそうする。アオダイショウもシマヘビも尻尾を小刻みに振って、ストレスを受けていることを主張する。
マムシが尻尾を振っている様は恐怖でしかなかった。こいつは逃げずに咬みに来る。自分が強い生き物であると理解しているから逃げようとしない。道路の真ん中からどいてほしいのに逃げない。だから轢かれるし害獣として駆除されてしまう。強者ゆえの悲嘆である。
ヤモリも威嚇で尻尾をうねらせる。ゆっくり尻尾をうねらせるのが威嚇になるというのも不思議だが、彼らはそうしてストレスや警告を示す。可愛い。だが咬みつかれる。ミ゛ーとも鳴いて嫌がる。
爬虫類相手だと、基本的に人間がつつくことの全てがキュートアグレッションでありDVになるのである。カワイイカラツツク。ハチュウルイメッチャオコル。オコルノツカレル。ツカレテイノチケズレル。ヒトハダノオンドデモノボセテイノチケズレル。野生の爬虫類の捕獲・ハンドリングに良いこと何もねえな。
話がそれた。つまりどういうことか。
爬虫類が尻尾を忙しなく振っている時、うねらせて尻尾を主張している時。彼らはだいたいこちらを警戒し、敵意を持ち始めている。
なので蛇やトカゲ、ヤモリを参考にしたとみられる龍やドラゴンの描写で、嬉しい時に尻尾を振る姿を見る度「それは犬の習性だ!!!!!!!」と斜め45度からツッコみたくなる。ただの私のこだわりの話である。(犬だって尻尾を振るのは嬉しい時だけではないのだ)
確かに、動作や習性の参考を身近な犬猫に求めたキャラクターデザインの竜もあるのだろう。それならそれでいい。
人に取り入るために、人間の身近な動物の動作を真似て、媚びて見せる竜も居るだろう。うちの創作キャラクターにもいる。そういう狡猾さやコスさって良いよね。知性も感じられるし、本心では何を企んでいるのかわからないのも不気味で素敵だ。
そうした理由もなく、作者の無知や無関心のまま、人間に添えるアクセサリーとしてしか描かれていない生き物が好きではない。ただの私のこだわりの話である。
そうした無関心な添え物に終始し、売れるものの描写にしか力を入れないから、日本のゲームの動物描写は大陸ゲーにかなりの遅れをとっているんだぞ!!!!!!!!! 添え物でも理解して丁寧に描画しているか否かでゲーム自体の印象も変わるからな!!!!! そういう意味ではあのスマホゲもあのソシャゲも「俺に描かせろや」と殴り込みたくなってんだからな!!!!!!!
などと狭い視野に基づいて思うも、私は私で人間の文化や文明に造詣が浅いので、丁寧で正確な描写に基づいたデザインや、アレンジの応用も出来ないことが多いのである。
たとえば衣装デザイン。元々服飾に興味が薄く、系統も記号的な描き方しかしていないため、縫い目や合わせ目 そこに伴った布の引き攣れや浮き方をきちんと理解しないまま、フィーリングだけで適当に描いている。
楽器や銃、車や酒の瓶もだ。いずれも知識を集め、研究理解し分析しながら描写しなければ、実際には使えないものになったり、異常な持ち方をしてキメ顔をしていたり、容器の形状と中身が合致しない飲料になったり、安全装置がかかったままの銃から飛ばないはずの薬莢が飛んだりする。
自分は線画ありきでアニメ塗の、くっきり明確な描き方をする方だ。こうした各部の理解が曖昧なままだと、四方八方に無知の露呈と無礼を高解像度で働くことになる。想像するだけでもぞっとするのに、実際に大間違いをかましていて蒼白になることも少なくない。私が人のミスを糾弾できる謂れはどこにもないのだ。
何事もお互い様の精神は必要だ。ガチガチ歯を鳴らして歯噛みしながら譲り合うのは、自分も他人も同じなのだ。多分。
だからもっと知りたいし、知る必要はある。知ったものを形に出来るよう研究も自主的にするのが良い。
ただの貴方のこだわりであり、ただの私のこだわりの話である。
それでも、こだわりたいのに自分が携われないなら、その悔しさが遺恨にならないような制作をして欲しいし、自分もしたい。
それが描画を任されるものの責任なのだろうよ。