途方もない数字に見えるこの10万文字はただの言葉の連なりで、思ったほど遠くはないのかもしれない。昨年末から1000文字エッセイを初めて1ヶ月ほどが経過した。3万文字ということでこれをあと2ヶ月継続すると10万文字に達成するという単純な話だ。仕事やプライベートなどあっちへ行ったりこっちへ行ったりとたわいもないことを書いているけれど、ほぼ毎日何かしら書くことができている。
文章を書くという行為に対して全く障壁を感じたことはないけれど、何を書けば良いのかわからないということは感じていた。こうやって何を書いても良い、特定の話題や時事について論じることもなく、心の赴くままに気楽に綴ることができるのは、おそらくこのプラットフォームのおかげだろう。誰にも共有していないこのアカウントを知っている人はおらず、匿名でやっているからこそどんな内容でも許されるという安心感がある。
AIの台頭が著しく、作文なんていつか取って代わられる分野なのは明白だ。それでも私は描き続けて言いたいと思うその原動力は、自分を上手に表現できる唯一の方法だからだ。絵を描いてみたことがあるけれど、全くの門外漢で練習してみるも情けなくなるようなアウトプットで、世の中に恥じらいなく公開するにはかなり時間がかかるだろうと途方に暮れていた。音楽なんてもってのほかで、楽器の練習ならまだしもリズム感がないのでその修正からしなければならない。言葉を扱うことは社会生活を営む上で必須な作業なのだが、一層思い入れを持っていたわけではない。他の表現方法に比べて得意だというだけで突出して美しい文章が書けるわけではない。しかし、その行為自体が好きだと胸を張って言えるのはある種、恵まれているしそのことに気がつけたのは幸運だったと思っている。
今はただ日々の暮らしや感情を書き連ねているだけだが、空想の物語も今年中に書こうと思っている。初めから10万文字は無謀なので短編小説から始めたい。構想を練るのは楽しいがこれといってパッとしたものがなく日々苦悩している。けれど小説は著者の日常の延長であり、地続きにつながっていると信じているので、毎日を大事に、そして感情を書き記し、いつかの糧となるようエッセイとして残していく。そしていつかは大台を通り越し100万文字を目指して書き続ける日が来るかもしれない。将来何をしているのか想像もつかないが、誰かが描く小説のような人生でありたい。