裏たびとこ話、4

tabitocco
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書き始めたらノッてしまい、まだ続いている裏話。笑

上司Aですが、元気になってきたわたしの将来を気にしてくれ始めた。自立するにはどうしても働く必要があるけど、心身を酷使するような仕事はもう続けられないだろうから、半官半民のNPOとか…とりあえず公務員資格とるとか…等々。今やってる仕事の話なんかもいろいろしてくれて、田舎に引きこもりで世界が狭まっていたわたしにはとても新鮮で刺激があり、上司Aがカッコよくも見えた。できることから、ということで、少しずつ家庭教師や塾講師のアルバイトを再開する。

37歳、父の定年が近く、会社の健保でタダで人間ドック受けられるのが今年で最後だから、ということでなんとなく受けてみたら、子宮に異常ありということで精密検査。検査の結果、まだがんではないと思うけど、ダメな部分の切除手術とさらに検査が必要→大きな病院を紹介してもらい一泊手術。そのとき切り取った組織を詳しく検査したら、顕微鏡でしか見えないレベルのめちゃくちゃ初期だけど、子宮頸がんがあることが発覚。すでにがん細胞はすべて取りきれているはずなので、このあと出産したいなら、定期的に検査をしながら子宮を温存することはできる。でも出産しないなら、万が一の再発を防ぐために子宮を全摘したほうが良い、と。

その日の晩、どうするかぼんやりと考えながらお風呂に入っていてふと思いついたのが「がんの保険金が入るなら、大学院に行けるのでは?!」ということ。これは我ながら良い思いつきかも!と、お風呂を出て速攻で母に「わたしさ、手術して、大学院いこかな?!」と話すと、「お、ええんちゃう♪」と即答の母。

あんまり即決するのもな(苦笑)、と一晩あらゆる条件について考えたけど、とりあえず結婚&出産の予定はないし、とくに希望もしてない。もし再発したら、子宮だけじゃなく周りの組織をもっと広く切除しなきゃいけない→後遺症がのこるかもしれない、あと抗がん剤もしなきゃいけなくなる、めちゃくちゃしんどい、それだけはイヤ!それに、すでに37なので、もしこのあと子どもを生むことがあったとしてもかなりの高齢出産だし、鬱があるので子どもを育てる体力にも精神力にも自信なし。

子宮を全摘する場合、生理もなくなるので毎月の腹痛、腰痛、排卵痛、月単位の精神的な上下等々もなくなる=めちゃくちゃ楽だし研究に集中できる、最高の選択肢なのでは?!?!

ただ、女じゃなくなるような気もするし、それって「逃げ」じゃないのか、という思いもあった。でもそのとき、目の前にまるくなって寝ていたネコチャン(避妊手術済み♀)を見て、なぁんだこの子と同じになるだけジャン!と気づき、完全にふっきれた。

上司Aは、たぶん早く働いたほうが良いと思ってたのだろう。わたしが大学院に行こうとしてることを、反対はしないまでも、そんなに喜んでいなかったと思う。たしかに、文系の大学院を出ても、日本では就職に有利にはならないどころか不利になったりもする。あと、上司自身の育った環境が影響してるんだろうけど、40も近いのに学歴だけ上積みして、いつまでも親の世話になり続けることを良しとしなかったのだと思う。

大学院を受験するための準備を始めた頃、あの某ファストフード店の彼から10年以上ぶりに連絡がきた。普通に「元気ですか?」みたいな他愛もないLINEだった。ただ、この連絡が来る少し前、彼がちょっと事件を起こして逮捕されていたことを、たまたま見かけたネットニュースでわたしは知っていた。でもそのことは話題にせずに、何も知らないふうに普通に話をした。きっとたくさんの知り合いがすでに彼から離れてしまっていただろうし、わたしもそんな人たちと同じだと思われたくなかった。わたしは彼の良いところを知っていたし、信じていたので。

うーん、これまだ続きますね

@tabitocco
書きたいことがある&時間があるときに、好きなことを書きます