いつもわずかに紐は揺れた

tacchi
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今日で30代が終わる。

誰かが亡くなったニュースを見るたび「悔しかっただろうな」と思ってしまう。それがものを作る人なら「まだまだやりたい事があったはずだ」とも。でもそれは間違いなく、今の自分を投影しているだけだった。まだやりきってない、今の自分の思いを言ってるに過ぎない。

僕が人生で一番書いた絵のひとつは「悟空」だと思う(※)。あのツンツンの毛は見た目以上にバランスが難しく、いつも不甲斐ない見た目になった。トレーシングペーパーを買って、漫画を上からなぞってようやく満足できた。

カードダスも集めたけど、どちらかと言うとPPカード派だった。1枚ずつ買うと抽選だが、お金を貯めて「全部丸ごと買う」ことも可能で、それを家で一枚ずつ、抽選ぽく開けて行くのは至福の時間だった。

当然かめはめ波の練習もした。動作チェックは電気の下で行われ、ぶら下がる紐が揺れていれば「気」が出ている証拠なので、成功である。

超武闘伝も楽しすぎた。「2」でかめはめ波を打ち返し、ひたすらボタン連打してる時間はゲームの内外で"戦い"が起きた。

そして僕の人生には大きすぎたクロノ・トリガー...

悲しいを通り越して羨望に近いかもしれない。自分が年を取り、残り時間を考えてしまった時...「作品は死なない」ことを体現し、身をもってそれを体感してしまった気がする。

折り返し地点というには少し重い。でもしずかに、確実に、次の一歩は始まっている。

 

※ちなみにもう1つは「けろけろけろっぴ」 好きやねん

@tacchi
しずかにゲームを作ってます www.dioramaknight.com