本好きな人たちが「好きな作家」を言い合って、それだけで相手の人となりがわかるような気がして距離が縮まるのと一緒で、ある種の映画好き同士で「好きな監督」を言い合うのは、そこそこ親密な行為だと思う。
ただし「好きな作品」を言い合うよりももっと、自分の内面世界や思想がどのあたりに位置するかをはっきりさせる行為でもあると思うので、それを機に誰かに苦手意識を持たれてしまう可能性もあり得る。だから、われわれにとって「好きな映画監督」に誰を選んで明言するかは、非常に繊細な作業なのである。
私の場合を考えてみる。私の「好きな監督」は、
黒沢清、深田晃司、タイカ・ワイティティ、塚本晋也、マーティン・スコセッシ、フランソワ・オゾン、白石晃士、イ・チャンドン、M・ナイト・シャマラン、マーティン・マクドナー、ライアン・ジョンソン、石川慶、ジョーダン・ピール、湯浅政明、ギレルモ・デル・トロ、ケン・ローチ、ジョージ・A・ロメロ、スパイク・リー、ザック・スナイダー、ダニー・ボイル、フランク・ダラボン、マイク・フラナガン、アリ・アスター、トビー・フーパー
……こんな感じかな。すごい、挙げれば挙げるほどなんらかの傾向が見えてくる。私はサブカルっぽい作品やカルトっぽい層にウケのいい映画が好きな傾向にあって、絶対数が少ないとはいえ、女性監督を1人も挙げないタイプの人間。なんだかちょっと「映画秘宝」っぽいのがいやな感じだ。
以下は、鑑賞数が少なかったり、まだ数本しか撮っていなかったりで確信が持てないけど、おそらく「好きだろう」と思われる監督の羅列。
イーライ・ロス、ウィリアム・フリードキン、ケリー・ライカート、エドワード・ヤン、デヴィッド・クローネンバーグ、ペドロ・アルモドバル、アルフレッド・ヒッチコック、ロブ・サヴェッジ、タイ・ウェスト、マリエル・ヘラー、ジェニファー・ケント、デスティン・ダニエル・クレットン
以下の監督はどういう括りかというと、
原田眞人、白石和彌、三谷幸喜、ティム・バートン
問題のある発言や、近年の作品傾向的に信頼できないし好きと公言しづらいが、どうしても作品を面白いと思ってしまったり、過去の作品のよき思い出が忘れられない監督たち。ちなみに三谷幸喜は、もともと『12人のやさしい日本人』や『ラジオの時間』などがとても好きだったのが、周知の通り「……うーん」という作品を連発するようになったものの『鎌倉殿の13人』で飛躍的に評価を上げてきたので、次の作品がよければ「好きな監督」に復活するかもしれない。
以上。やっぱ「好きな監督」ってその人の内面をつまびらかにしまくるッスよね。みんなもよかったら羅列してほしい。「好きな漫画家」とか「好きなアーティスト」もちろん「好きな作家・小説家」でもいい。読みたい。