傘がとぶ

傘がとぶ。

手をはなしたから。

紺はブルーに揺れながら。

春の嵐にしかめつら。

横目にはしゃぐ小さい黄色たち。

「なにが楽しいんだか」

つぶやきながらも反省しつつ、

じゅうぶん濡れてから傘を拾う。

わたしを運んでよ、

折りたたみ傘も

折りたたみ傘カバーも

傘をもつ左手も

コートもカバンも体ごと

わたしをはこんでよ。

@tadayoi_sanbun
過去の感情を掘り起こしてコネコネしてから、 滲んだ絵と滲んだ散文にしています。