ハビエル・シエラ「失われた天使」を読み終えたのだが、ちょっと驚く場面に出会った。終盤でおそらくはおそるべき謎の解明として「わたしは天使の末裔なのだ」みたいな台詞が飛び出してきたのだ。フィクションの話なのだから別にふーんで流すこともできたのだが、本作品を今一つノレぬままに読み進めたせいか、天使の末裔で引っかかってしまった。
平家の生き残りなのだとかは平気だけど
安徳天皇が実は生きのびてオレはその末裔なのだとかいうのも平気だ。割と楽しく読めると思う。でも天使はねえ…作中だと天使を介して神と交信するという話も出てくるし。ジャンルはスピリチュアル・ミステリー。
作者はスペインのダン・ブラウンと呼ばれておるらしく、面白くないわけではないけれど。なんというかな、虚構と史実の融合ではなくて、与太と事実の融合がうまいんだろうなと思うんだよ。与太話も常軌を逸するとなかなかノレないのかもしれない。だって、天使はホモサピエンスじゃないし…。無知ゆえに、受け入れられないのだろうな。よくわからん平家の末裔は平気なのに。
蛇足
そんな天使の末裔は感情より理性を重んじるそうで、そうなんだ…としか言えない。
チェスタトンの
狂人とは理性を失った人のことではない。狂人とは理性以外のあらゆる物を失った人である。
を思い出した。