はじめての裁判傍聴

tajii
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公開:2024/12/19

裁判の傍聴に興味を持ったきっかけ

今日、人生ではじめて裁判を傍聴してきた。

昔『リーガル・ハイ』というテレビドラマを観てから、裁判というものに興味があった。

当時裁判の傍聴について調べた時に、裁判所は基本的に土日祝はお休みなので、平日しか傍聴ができないことを知った。

今日は平日、有休消化で特にやることもなかったのでついに裁判所へ足を運んだ。

傍聴の簡単な流れ

まず前提として共有しておくと、裁判の傍聴には事前・当日ともに特別な手続きは必要ない(※詳しくは以下のHPで)

裁判所に足を運び、入口近くに置いてあるモニターで当日開催される裁判の一覧を確認して、その部屋に向かい、着席して傍聴するというのが全体の流れである。

一部、傍聴券という整理券が交付されて傍聴する裁判もある。これはテレビや新聞などのメディアで大きく報じられた事件などの裁判は傍聴希望者が多くなるので、整理券を交付している。

ちなみに、いつどんな裁判が行われるのかはネット上に公開されていないが、この傍聴券が交付される類の裁判に関しては、ネット上に事前に公開されている(※詳しくは以下のHPで)

今回自分は傍聴券の交付をもらう体験はできなかったので、次回リベンジしたい。

ここからもう少し細かく、傍聴体験を描写していく。

裁判所に入る~傍聴前まで

霞ヶ関駅のA1出口を出ると、すぐ目の前に東京高等裁判所の入口の門が現れる。10:00頃に到着したが、目の前を歩く人がどんどん門の中に吸い込まれていく。

服装はスーツの人もいればカジュアルな人もいて、すでに想像していた以上に、傍聴というものは敷居が低いものなのかもしれないと思い始めた。

入口は一般傍聴者と裁判関係者で分かれていて、入ると空港でよく見る手荷物検査のレーンとゲートがあった。検査は普通に一瞬で終わった。

検査を終えると目の前に、役所とか運転免許試験場でよく見る、腰ぐらいの高さの台で各々がペンを走らせていた。Max8人のスペースの台で、1人分空いていたのでスッと立ってみると、目の前に小さなモニターあり、そこに今日開かれる予定の裁判が表示されていた。

ここは結構うる覚えなのであれだが、こんな感じの選択肢がモニターに映し出されていて、それぞれをタップすると、それぞれで今日開かれる予定の裁判一覧が見れた(ちなみに、刑事裁判よりも民事裁判が圧倒的に多い。今日は高等裁判所の刑事裁判が12個ぐらいだったのに対し、民事裁判は300個ぐらいあった)

  • 高等裁判所(民事)

  • 高等裁判所(刑事)

  • 知的財産高等裁判所

  • 家庭裁判所(民事)

  • 家庭裁判所(刑事)

  • 簡易裁判所

ちなみに、高等裁判所の民事裁判は誰もが知る企業が平気で裁判をしていたりして面白い。「え、あそこが訴えられているの!?」みたいなにが結構あった。

この場所で各々がペンを走らせている理由は、いつどの部屋で何に関する裁判が行われるのかをメモしているからだった。このモニターはスマホで撮影禁止で、傍聴時もスマホの電源を切ることを要求されるので、基本的に裁判所内はほとんど電子機器を触れないと思った方がいい(厳密にはもう少し情報が載っていたが、ざっくりこんなことが各裁判に紐づいて載っている)

  • 開廷時間

  • 開かれる法廷部屋番号

  • 事件の罪状

  • 被告人名

  • 原告人名

ちなみに、ここで法廷部屋番号をしっかり記憶しておく or メモすることが大事(手ぶらで来た自分はこの後何度も痛感する)

というのも。東京高等裁判所は1階,3階,4階,5階,6階,7階,8階が法廷があるフロアで、1階と3階はそれぞれ2つしか法廷がないのだが、4~8階は30法廷ずつぐらいある。

フロアは病院に近い作りで、1直線の割と広い廊下の左右に透明の扉の入口があり、その扉の中に大体3~4つぐらいの法廷が隣接しながら存在していて、それぞれに傍聴者用の扉がある。

一応丁寧に各法廷の入口前に、モニターで見たような情報が紙で貼り出されているのだが、雰囲気的にうろうろできる感じではないので、記憶に叩き込むか紙とペンを用意して持っていくのが無難である。

実際に傍聴してみる

今回は時間の関係上、3つの裁判を傍聴してみた。

  • ①監護者わいせつ事件の判決

  • ②競業避止義務を破ったフリーランス美容師の弁論

  • ③傷害・監禁・殺害を犯した事件の判決

まず、上記の通り、法廷に入り席に座る。席は50席ぐらいある。3つ参加してみて分かったが、裁判によって人気不人気は如実にある。人気な裁判がほぼ満員である。

右側には被告本人と被告代理人(弁護士)、左側には原告側の弁護士が座っていて、傍聴者と対面して書記官が座っている。

時間になると、奥の扉が開き、3名の裁判官が出てくる。これと同時に、傍聴者も起立する。裁判官が礼をするので、傍聴者も礼をする。これがグランドルールらしい。

裁判にも、判決を言い渡す系と弁論系で分かれてるらしく、判決系は被告側が控訴を申し立てた結果をその場で伝える感じだった。今回の①③は両方、控訴を棄却する判決だったが、どちらも15~20分ぐらいで終わる。

基本的には裁判官の1人が、一連の事件の内容をなぞりながら、判決を下す際の論点を整理していく。各論点に対しての原告・被告両者の主観的な供述内容や状況証拠などの客観的事実、専門家の見解などを踏まえて、「この論点に関してはAと言える」とか「この論点に関してはBとか言い切れない」という解説してながら、棄却という結論に至って背景を説明する。

この時、ほとんどの傍聴者はノートに色々とメモをしていた。傍聴が趣味のご年配の方もいれば、メディア関係者の人っぽい人もいた。

今回、特に記憶に残ったのが③の裁判で、被告人が令和元年に起こした事件だった。当時30代前半だった被告人の男性が、彼女とその妹と協力して1人の女性に定常的に暴行を加えたり、真夏に押し入れに閉じ込めて監禁したり、お風呂場で顔にスーパーの袋を被せてシャワーを浴びせて窒息させ殺害し、最後には山に埋めたという内容であった。

文字にするだけで悲痛な内容だが、目の前で両側を警察官に囲まれ、手錠と上半身を紐で括られている姿は、今聞いている内容が現実で起きたことだと実感するには十分だった。区切られた壁もない。同じ空気を吸っている。それ自体もしんどかった。

そして判決は懲役20年であったが、20年経ったら同じ社会に出てくることへの恐怖や怒り、そして過去にも同じような過ちを犯した人間が既に懲役を経て、この社会に戻ってきている事実。そういうことが頭の中を駆け巡り、ずっと気分が重くなった。

傍聴体験をしてみて

裁判所は罪を犯した人が法の元に裁かれる場所なので、基本的に気が重い場所である。場所の雰囲気自体も重い。

自分は人に気軽に勧められないなぁと思ったけど、裁判官の判決の説明を聞くのは非常に勉強になったし、裁判所という場所の雰囲気を知れたのは良かった。

刑事裁判は結構聞いてて辛いと感じる人も多い気がするので、民事裁判とかはとっつきやすいかも。上であんまり書かなかったけど、②の競業避止義務を破ったフリーランス美容師の弁論は、全然雰囲気が違って気軽に聴けたので、そういうのから聴いてみるのがおすすめです!

@tajii
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