今頃になって鏡餅を食べようとしたら、中から小さな男の子が出てきた。
「ああ、引いちゃったかー」と思いつつ、その子を実家の母にあずけて、とりあえず今日は役所に出生届を出しにきた。
最近は人外でも出生届を出さないといけないそうだ。その代わりといってはなんだが、養育について行政のサポートも受けられるようになったそうで、それはありがたい。
とりあえず名前は伝統に則って「鏡餅太郎」にしようとしたのだが、役所の窓口で「いまどき、そういうのは……」と言われてしまった。
人間でもおかしくない名前にしないと人外権問題になりかねないそうだ。
たしかに彼が人間になるようなことがあったら、「鏡餅太郎」という名前はちょっと生きにくそうだ。
人外としても人間としてもいい感じの名前はないかなと思案しながら、役所の窓から二月の空を見ている。